【アニメ感想】物語シリーズ セカンドシーズン→貝木泥舟が超カッコいい

物語シリーズセカンドシーズン

今回は『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン(以下、セカンドシーズン)』について語っていく。

前作の『猫物語(黒)』が2012年12月31日に放送されたあと、2013年7月から12月にかけて『セカンドシーズン』が放送された(『花物語』だけ2014年8月16日に一挙放送)。『セカンドシーズン』は、以下の6つの作品で構成されている。

  • 『猫物語(白)』
  • 『傾物語』
  • 『囮物語』
  • 『鬼物語』
  • 『恋物語』
  • 『花物語』

アニメ制作は前作同様にシャフトが担当した。

目次

『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定92点
ストーリー92点
演出90点
キャラ90点
音楽83点
※個人的な評価です

作画

あいかわらずの芸術的な作画だ。映像化不可能と言われていた『物語シリーズ』をアニメにしているだけあって、抽象的な表現が多用されている。また『セカンドシーズン』は全体的に戦闘シーンが少なかったので、大迫力のシーンは控えめ。その代わりにキャラの心情描写が丁寧に描かれていたと思う。

世界観・設定

西尾維新やシャフトが作り出す世界観は好き嫌いがあると思うけれど、僕は超が付くほど大好きだ。『セカンドシーズン』でも個性が強烈。特に『傾物語』の壮大な世界観が好きだ。

ストーリー

『セカンドシーズン』になってから、時系列がよくわからないことになる。ざっくりと分ければ、本作は以下の3つに分類できるはずだ。

  • 八九寺真宵編(猫物語(白)、傾物語、鬼物語)
  • 千石撫子編(囮物語、恋物語)
  • 神原駿河編(花物語)

こうやって分類すれば、それなりに理解しやすくなる。

そして肝心のストーリーだが、めちゃくちゃ良かった。特に『傾物語』『鬼物語』『恋物語』の面白さは異次元。時系列をずらすことで初めて可能となるストーリー表現ばかりだった。

演出

新房昭之監督らしい演出だらけ。また、今回の『セカンドシーズン』では音に注目してみた。『物語シリーズ』では原作小説における地の文もセリフで表現しているため、かなり長文のセリフとなる。そのため、視聴者に飽きさせないように、音響が工夫されているのだ。ここまでセリフの音響に手を入れているアニメ作品は、中々ないと思う。

キャラ

『化物語』で活躍したヒロインたちが、さらに深掘りされた。その中でも八九寺真宵と千石撫子が、特に深掘りされたように思える。
また『恋物語』の戦場ヶ原ひたぎが、とにかく尊い。あと、羽川翼も可愛い。そしてなんといっても「貝塚の貝に、枯れ木の木」の貝木泥舟がカッコよすぎる。ファーストシーズンでは完全に悪役側だったけど『恋物語』の貝木は最高だった。憎めないやつだ。

音楽

『化物語』ほどではないにしても『セカンドシーズン』の楽曲も中々良い。個人的には『傾物語』の『happy bite』と『恋物語』の『fast love』が好み。特に『fast love』は、レトロな雰囲気のメロディーとなっていて、OP映像のレトロな演出も非常に良かった。

『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』の感想

ネタバレ注意!

とにかく八九寺真宵が切ない……

『セカンドシーズン』の注目点は、八九寺真宵にある。そもそも『物語シリーズ』に登場するヒロインの中でも、八九寺真宵だけ境遇の不幸レベルが違う。八九寺真宵は交通事故で既に死亡しており、蝸牛の怪異という形で幽霊になってしまったいたからだ。

『化物語』で一旦は解決したものの、八九寺真宵が成仏していない問題は解決されていないままだった。そしてついに『鬼物語』にて解決することになる。八九寺真宵が成仏してしまうのだ。このシーンは『物語シリーズ』の中でも屈指の感動シーンだと思う。

また『傾物語』も切なかった。思わぬ時間移動で11年前にタイムスリップしてしまった阿良々木暦と忍野忍は、八九寺真宵を助けてみることに。しかし「八九寺真宵を助けた世界は必ず滅んでしまう」という状況であることが判明。つまり「八九寺真宵か世界か」どちらかを選ぶというボーイミーツガール的なストーリーになってしまったのだ。

もちろん、阿良々木暦はどちらも手に入れようとする(このときに『傾物語』のタイトル回収が行われるのだけど、これがめちゃくちゃカッコいい)。だが結局、阿良々木暦が元いた世界では八九寺真宵は死んだままになってしまった。

八九寺真宵は幼児の姿をしているけれど、実際は阿良々木暦よりも精神年齢が上なのだ。だから『鬼物語』のラストでも、まるで大人のような対応を見せる。このシーンは、本当に泣けました。

『恋物語』が一番好き

『セカンドシーズン』の中だと、僕は『恋物語』が一番好きだ。もちろん『傾物語』や『鬼物語』でも僕は最高に興奮したのだけれど、『恋物語』における貝木泥舟のカッコよさと戦場ヶ原ひたぎの尊さには勝てない。あと、千石撫子も一周回って可愛かった。

まず『恋物語』の前段階を振り返ってみる。『囮物語』において、あらぬことで千石撫子が神になってしまい、阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎと忍野忍を卒業式の日に殺すことになってしまう。これだけでも凄まじいほどのストーリー展開だが、この問題を解決するのが阿良々木暦でも戦場ヶ原ひたぎでも忍野忍でも千石撫子でもなく、まさかの貝木泥舟なのが面白い。

そして『化物語』や『偽物語』で完全に悪役だった貝木泥舟が、実は良い奴だったかもしれないというのも面白い設定。斧乃木余接が貝木泥舟に「あの子(戦場ヶ原ひたぎ)を助けたかったんでしょ?」と言い始めるあたりから、貝木泥舟が実は良い奴だったかもしれない説が表面化してくる。

ちなみに僕としては『恋物語』序盤で、貝木泥舟が「戦場ヶ原ひたぎを助けるかどうか」をトイレで検討している姿が、戦場ヶ原ひたぎを助ける理由を探しているようにしか見えなかった。

これらのくだりを踏まえると、戦場ヶ原ひたぎが非常に尊く見えてくる。本当は怖いはずなのに、阿良々木暦のためなら命をサラッと賭けてしまい、挙げ句の果てに貝木泥舟に助けを求めてしまうのだ。ミスドで戦場ヶ原ひたぎが涙を浮かべるシーンが、その尊さを如実に表している。

そのあと、貝木泥舟が千石撫子の夢に対して追及するシーンが描かれた。まさか撫子の夢が漫画家だったとは……。そしてこれに気づくことができたのが、阿良々木暦でもなく、撫子の両親でもなく、貝木泥舟なのが面白い。これを考慮すると『恋物語』における千石撫子の最大の理解者は貝木泥舟ということになるのだ。

『物語シリーズ』に登場する大人ってみんなカッコいいな!

『花物語』の順番を変えたのは英断

『セカンドシーズン』のクライマックスは『恋物語』だと思うが、ラストを飾ったのは『花物語』だった。しかし実は原作小説とTVアニメでは順番が異なる。原作小説の『セカンドシーズン』でラストを飾ったのは『恋物語』であり、『花物語』は『傾物語』の次に描かれているのだ。

TVアニメにおいて『花物語』の順番を変えた理由として、尺の問題が考えられる。2013年7月から2クールで放送しようと思うと、全部で約25話に収める必要があるので『セカンドシーズン』を全て映像化するのは難しい。それに加えて『花物語』は『セカンドシーズン』の作品の中で最も距離の遠い作品だ。何といっても『花物語』は阿良々木暦が卒業した後の物語なのだから、他の物語とは毛色が全く異なる。だからアニメ製作陣は『花物語』を一旦後回しにしたのだと考えられる。

だが個人的に、これは想像以上の効果を生んだと思う。なぜなら『花物語』を『恋物語』の後に放送することで、貝木泥舟の生死の行方をわからなくすることができたからだ。

実際に僕は『恋物語』を視聴していたとき「もしかしたら貝木は、千石撫子を騙すのにしくじって殺されるかもしれない」とハラハラしていた。それに『花物語』を先に放送してしまうと『恋物語』の衝撃的なラストも演出できなくなる(僕は貝木生存派)。

ということで『花物語』の放送順を変えたのは英断だったのではないかと僕は考えているのだ。

さいごに

『物語シリーズ』はやはり面白かった。そして『セカンドシーズン』ではたくさんの伏線が提示されていて、特に忍野扇が謎だらけだ。いち早く『ファイナルシーズン』の作品を視聴していきたいと思う。

この記事をシェア
目次