【劇場版あの花感想】過去と決別し、今と未来を生きるべきだ

劇場版あの花

今回は『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(以下、劇場版あの花)』について語っていく。

『あの花』はA-1 Picturesによるアニメオリジナル作品で、TVアニメが2011年春クールに放送。そのあと、2013年に『劇場版あの花』が上映された。アニメ制作はA-1 Picturesが担当している。

目次

『劇場版あの花』の評価

※ネタバレ注意!

作画85点
世界観・設定80点
ストーリー80点
演出80点
キャラ80点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

『劇場版あの花』ということで久しぶりに『あの花』を視聴したけれど、想像以上に作画が良かった。細かい動きも作り込まれているし、全体的に安定している。それでいて大衆的で、万人に受け入れられるキャラデザだ。

世界観・設定

TVアニメ『あの花』の1年後が舞台になっている。TVアニメの総集編とはいえ、新規カットも非常に多い。

ストーリー

ストーリーも中々良かった。僕は約2年前にTVアニメの『あの花』を視聴したので、復習としてもちょうど良かったし、新規ストーリーも大量に挿入されていて飽きなかった。超平和バスターズがやっと前を向き始めた様子がしっかり描かれている。

演出

改めて視聴すると、やはりラストの勢いだけで持っていく演出は少し雑だったと思う。初見の時は勢いで泣いてしまったけれど、こうして再び視聴すると、逆に冷めて感動できない。むしろ、じんたんのフランダースのくだりとかみたいな、繊細な演出の方が魅力的だった。

それとキャラの動きの演出が良き。長井龍雪監督の演出が生み出す緩急ある動きが印象的だった。特に、キャラがビクッと動く”急の動き”が個人的に好きだ。

キャラ

1年後の超平和バスターズが描かれたわけだが、良い意味で変わらず、そして前を向き始めているのがわかる。特に恋愛面で少しずつ進んでいるのか何とも微笑ましい。

音楽

やっぱり『secret base〜君がくれたもの〜』が名曲だ。それと主題歌の『サークルゲーム』も良い感じ。一夏の青春って感じがする。

『劇場版あの花』の感想

※ネタバレ注意!

2年ぶりに『あの花』を視聴した

僕は2020年4月頃からアニメにハマり始め、2020年7月の時点でTVアニメ『あの花』を視聴し、それについてのブログも出していた。

当時の僕は、まだブログを始めたばっかの頃で、文章力もなく、アニメ作品に対する感想や考察もまだまだ浅いものだった。当時の僕はこんなことを考えていたらしい。

アニメにハマって間もない頃の僕の『あの花』に対する感想
  • めんまが魔性の女
  • めんまは『クロスゲーム』の月島若葉に似ている
  • EDを流し始めるタイミングが卑怯

こうして見ると「めんまが魔性の女」という指摘は、それなりに鋭かったのではないかなと思う。それと同時に、たしかに『あの花』はあだち充の『クロスゲーム』に似ている。『クロスゲーム』も『あの花』と同様に、死人に囚われる少年少女のお話だからだ。ただし『クロスゲーム』よりも『あの花』の方が、より複雑な人間関係を描いている。

それで当時の僕は「背中に背負う十字架は重いんだ」という当たり前すぎることを考えていたようだ。そして今の僕が『あの花』を見る限り、これは過去と未来の物語だと考える。

『あの花』の場合、登場人物たちが”めんまの死”に囚われていたわけだが、これは見方を変えると「過去を引きずっている」という風に見ることもできる。そして”めんまの死”としっかり向き合うことで、過去と決別することができ、超平和バスターズのみんなはようやく、前を進めるようになったのだ。『あの花』は、大雑把に言ってしまえばこういう物語だったと思う。

では、これを実際に僕たちに置き換えてみたときに、流石に「小学生時代に友人を亡くしてしまった」という経験をしたことがある人はほとんどいないだろう。だが「過去の何かしらの出来事に囚われている」という人は、一定数いるのではないだろうか。そして過去を変えられるわけでもなく、かといってしっかり向き合って受け入れることもできずに、なんとなく過去に引きずられながら今を生きている人もかなりいるのではないだろうか。

でもこれは、すごく辛いことだと思う。

僕たちは、未来の方を向いて今を生きている。たしかに”今”は”過去”によって出来上がっているが、”今”を変えることができるのは”未来”だけだ。もっと楽しい人生を歩むためには、過去と決別して、未来を楽しくするしかない。超平和バスターズは”過去”に囚われるがあまり”今”がとても辛くなっていて、その足枷を外すためにめんまがじんたんの前に現れたのだと考えていいだろう。

さいごに

TVアニメの『あの花』が2011年に放送、『劇場版あの花』が2013年に上映ということで、2023年の今は『劇場版あの花』から数えても、もう10年前の作品なのだ。

しかし『あの花』が色褪せることはない。実際、2021年には10周年記念イベントも開催された。また、『あの花』をきっかけに結成された超平和バスターズが『ここさけ』や『空青』などの新作を定期的に制作しているため、これが『あの花』の定着につながっている。

流石に『あの花』の新作が制作されるのは考えづらいけれど、超平和バスターズはこれからも新作を作っていくだろうから、その度に『あの花』が注目されるようになると思う。そして僕としては、近いうちに秩父に訪れて聖地巡礼したい。

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