京アニ作品は、笑顔が素敵だ

響け♩ ユーフォニアム2

今回は『響け!ユーフォニアム2(以下、ユーフォ2期)』について語っていく。

『響け!ユーフォニアム』は武田綾乃の小説(宝島社)が原作だ。そして2015年春クールに『ユーフォ1期』が放送されたあと、2016年秋クールに『ユーフォ2期』が放送された。

アニメ制作は京都アニメーションが担当している。

目次

『ユーフォ2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画88点
世界観・設定88点
ストーリー90点
演出90点
キャラ90点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

『ユーフォ1期』に比べて「あぁ、頑張って省力化してるなぁ」というのが悪い意味で目立ってしまった。『ユーフォ2期』では吹奏楽部が演奏する機会が多い。当然のことながら、その度に演奏シーンをガチで描いてしまってはアニメーターがパンクしてしまう。だから良い具合に省力化を施しているのだが、それが少々目立ってしまった印象だ。特に全国大会での演奏シーンを丸々カットしたのは印象として大きい。

その一方で、キャラクターの心情描写の描き方は相変わらず素晴らしかった。特にあすか先輩の心情描写は神ってる。

世界観・設定

『響け!ユーフォニアム』は京アニ作品の中でも特に複雑な世界観・設定だと思う。特に『ユーフォ2期』では家族がテーマになっていて、それが複雑性をより強いものにしている。

一口に「家族」と言っても、それぞれの家庭によって「家族」に対する印象は大きく異なるものだ。もちろん「友達」も例外ではないだろう。この辺の”複雑性”を描く題材として、たしかに吹奏楽部というテーマは適任だ。

ストーリー

ストーリーがとにかくめちゃくちゃ良い。物語の軸は大きく分けて3つ。①2年生、②滝先生の奥さん、③あすか先輩だ。

その中でもあすか先輩と久美子の関係性の描き方が凄まじい。一言で言い表せないような関係性を丁寧に描いていた。

演出

『ユーフォ1期』では演奏シーンの演出が光ったけれど、先ほども述べた通り『ユーフォ2期』での演奏シーンは省力化が目立つ。それよりも、京アニの最大の強みである”キャラクターの心情描写”が素晴らしいと感じた。

近年は『鬼滅の刃』のように、セリフで状況を説明してくる作品が増えている。けれども、やはりアニメというメディアで表現する以上、キャラクターの心情描写で説明した方が面白いものである。

それでいくと『ユーフォ2期』では、実に様々な表情が登場した。「笑顔」だけでも相当の種類があった。京アニ作品は、やはり笑顔が素敵だ。

キャラ

もしかしたら京アニ作品の中で、最もキャラが素晴らしい作品かもしれない。ここまでリアルに”人間の複雑性”を描いている作品は、他にないだろう。

『ユーフォ2期』では、やはり久美子とあすか先輩が光っていた。どちらも、これまでのアニメには中々いないキャラだったし、そもそも京アニっぽくない感じがする。やはり京アニといえば、鎧塚先輩みたいな”長門キャラ”とか、緑輝みたいな”えるたそキャラ(ちょっと違うかも)”というイメージがあるものだ。

そしてそんなアニメっぽくないキャラクターである久美子とあすか先輩をマリアージュさせてしまったら、そりゃ面白くならないわけがない。

音楽

『三日月の舞』を聴き過ぎたがあまり、メロディーが頭から離れなくなったのは一旦置いといて……。

OPの『サウンドスケープ』はTRUEらしい楽曲だった。映像の使い方も相まって、非常に印象的。全国大会出場が決まってから白黒からカラー付きになったのは良い演出だったし、ところどころで『けいおん!』をモチーフにしたようなカットも挿入されていた。

EDの『ヴィヴァーチェ!』は……、結構スキップしてしまった。

そして『響け!ユーフォニアム』が名曲だったなぁ。

『ユーフォ2期』の感想

※ネタバレ注意!

『けいおん!』と同じ雰囲気を感じる

僕は色々な作品を視聴してきたけれど、その中で『けいおん!』は非常に好きな作品の一つだ。多分、一番好きかもしれない。「終わってほしくない!」と思って、視聴を躊躇うぐらいにはハマっていた。

そして今、同じ感情を『響け!ユーフォニアム』にも抱いている。『響け!ユーフォニアム』でも思わず「終わってほしくない!」という気持ちを抱いてしまったのだ。別に久美子が卒業するわけじゃないし、それどころかポニテ先輩が卒業するわけでもない。まだ作品が終わるわけじゃないのに「終わってほしくない!」と思ってしまったのだ。

それはなぜか。

やはり、あすか先輩が卒業するのが悲しいからだろう。久美子とあすか先輩の関係性を『けいおん!』に例えると、あずにゃんと唯ちゃんのようなものである。ただし『ユーフォ2期』は、残される側の久美子が主人公だからタチが悪い。久美子視点で物語が語られるので、当然のことながら久美子に感情移入する。だからこそあすか先輩が愛しくなってしまうのだ。

そのうえ、久美子とあすか先輩の関係性は、極めて複雑である。一口に「先輩後輩の関係」では表現できないような関係だ。

あすか先輩は、特別だった

それにしても、あすか先輩がここまで特別扱いされるとは思わなかった。『ユーフォ1期』の段階では、ただの一キャラクターだと思っていたし、今後も久美子と麗奈の関係性が深掘りされていくものだと思っていた。

しかし久美子はいつの間にかあすか先輩のことを大好きになっていたし、極め付けはタイトル回収。『響け!ユーフォニアム』というタイトルは、あすか先輩のために存在していたものだったのだ。

『ユーフォ2期』では「あすかは特別なんかじゃなくて普通の人間だったんだ」ということが明らかになっていくけれど、メタ的に見てしまえば、やはり、あすか先輩は特別な存在だった。
あすか先輩目線でも、まさかここまで自分のことを想ってくれる人が登場するとは思っても見なかっただろう。

タイトル回収は、その作品において非常に重要な位置付けにあるものである。そのタイトル回収をあすか先輩に使ったということは、それだけあすか先輩が『ユーフォ』で特別だったということだ。

京アニ作品は、笑顔が素敵だ

『ユーフォ2期』は「笑顔」がテーマだった。特にあすか先輩の笑顔の描き分けは、マジで京アニにしかできない演出だったのではないだろうか。個人的に印象に残っているのが、OPで一番最後に挿入されていた、久美子とあすか先輩が一緒に笑っているカットだ。このカットの2人の笑顔が、とても印象に残っている。

思えば京アニ作品は、笑顔は素敵だった。例えば『ユーフォ1期』だったら、第十二回『わたしのユーフォニアム』で登場した久美子の笑顔のヨリがとても素敵だった。久美子がモヤモヤから開き直ったことが表情から見て取れる。

京アニ作品全体でいくと、夏の不朽の名作『AIR』の最終話『そら〜air〜』の観鈴の笑顔は、凄まじかった。

こうして振り返ってみると、京アニが作り出す笑顔は、非常に印象に残る。特に目の作り方がポイントなのだと思う。

さいごに

『響け!ユーフォニアム』シリーズは、まだまだ続く。『ユーフォ2期』の総集編劇場版を視聴したあと、山田尚子監督による『リズと青い鳥』だ。山田尚子が、鎧塚みぞれをどのように演出するのか。面白くならないわけがない。すぐにでも視聴して、ブログにアップしようと思う。

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