スタジオディーン版『Fate/stay night』の感想

Fate stay night

今回はスタジオディーン版『Fate/stay night』のTVアニメについて語っていく。

『Fate/stay night』は2004年にTYPE-MOONから発売されたノベルゲームが原作だ。本作には3人のヒロインがいて、そのヒロインごとにルートが設定されている。この内、セイバールートをアニメ化したものが2006年冬クールから2クールにかけて放送される。

アニメ制作はスタジオディーンが担当した。

目次

『Fate/stay night』の評価

※ネタバレ注意!

作画60点
世界観・設定75点
ストーリー70点
演出50点
キャラ70点
音楽65点
※個人的な評価です

作画

「スタジオディーン版のFateは作画が微妙」というのが一般的な評判だけれど、昔のアニメにそれなりの耐性のある僕からすると、思ったよりも作画は良かった。2006年制作アニメであることを考慮すると、まあこんなものなのではないだろうか。

ただし、作画に矛盾があるのはよくない。例えば前のカットだと傷だらけだったのに、いつの間にか全快してる……みたいな。これは完全にマネジメントミス。

世界観・設定

現代まで語り継がれている偉人をモチーフにしたサーヴァントを、人間の魔術師が使役して戦わせるという舞台設定。それで最終的に勝ち残ったものが、なんでも願いを叶えられるという聖杯を勝ち取れる。

ただ個人的な意見として、偉人をモチーフにしたサーヴァントや、魔術師関連の設定は、ちょっと微妙だった。確かに偉人や魔術がモチーフになってはいるけれども、そこに教養が乗っていないというか……。ただこれは『セイバールート』のトゥルーエンドのストーリーをアニメで見ただけの僕個人の考えなので、原作のノベルゲームではもっと深い内容が示されているのかもしれない。

ストーリー

ストーリーは面白かったと思う。というのも、なんだかんだでわりとサクッと、24話を視聴することができたからだ。しかも大筋のストーリー自体は思ったよりも簡単なもので、理解しやすい。その代わりシナリオがちょっと複雑で、多分アニメは少し説明不足。ただ、それが良い感じに厨二心をくすぐっていると思う。

演出

演出は微妙だった。まあ2006年相応の演出という感じ。

そもそも2000年代は、現代アニメほど演出が完成されていない時期だったと個人的に考えている。もちろん「演出が完成されている=良い演出」とも限らない。ただ2000年代は「演出のテンプレート」のようなものが構築されていない時期だったので、つまらない演出もよくあったということだ。

少なくともスタジオディーンの『Fate/stay night』の演出が微妙なのは間違いない。特にカメラワークが単調すぎる。

キャラ

なんだかんだでキャラは強いと思う。24話の中で様々なキャラクターが登場したけれど、どれも印象的だった。しかもサーヴァントに関してはセイバーやアーチャーなどに略語化されているので、名前も覚えやすい。

また、『Fate/stay night』のストーリーの進め方が「キャラの過去を深掘りする」という形式なので、なんだかんだでキャラに愛着が出る。今回のセイバールートでは衛宮士郎とセイバーの過去が深掘りされたけれども、個人的にはアーチャーや遠坂凛が気になる。これは『UBW』で深掘りされるのだろう。楽しみ。

音楽

音楽は印象に残らなかった。「Keyみたいな幻想的なBGMなのかなぁ」と期待していたけれど、普通のBGM。同人ゲームはもっと主張激しめで良いと思うのに!

『Fate/stay night』の感想

※ネタバレ注意!

衛宮士郎の正義の定義とは?

『Fate/stay night』の肝は、やはり”衛宮士郎の正義観”だろう。おそらく『Fate/stay night』のノベルゲームでも、選択に迫られた際に、どのような正義を選ぶかで結末が変わる仕様なのだと思う。

そして衛宮士郎の正義は、①全員助けるということと、②自分よりも他人を助けるという2つの要素に集約されている。ただし、実際のところ、どちらも幻想でしかない。まず全員助けるというのは、実質的に不可能だ。大抵の場合、何かしらを犠牲にすることで、何かを助けることができる。
そして自分よりも他人を助けるという自己犠牲による正義は、結果的に大切な人を悲しませてしまう。物語当初の衛宮士郎は、それを全く理解していないのだ。良くも悪くも現実を知らない。ただエゴの強い正義観を持った男子高校生だ。

そしてそんな男子高校生が、聖杯戦争を通じて、自分の理想とする正義と現実との折り合いをつけながら成長していく。というのが『Fate/stay night』の物語の軸なのだと僕は考えている。

だとすると、ラストの衛宮士郎の選択はとてもスマートだった。本来であればセイバーに二度目の生を与えることができたはずの衛宮士郎は、セイバーの誇りを優先した。それはつまり、自らの正義よりもセイバーの意志を尊重したということになる。

WIkipedia先生によると、『Fate/stay night』のアニメは基本的にトゥルーエンドが描かれているようだ。ということは、自分の正義よりもセイバーの意志を尊重したという選択が、少なくとも他の選択肢よりは正しかったということになる。

“過去を深掘りしていく”というストーリー

僕は『Fateシリーズ』を視聴するにあたって、様々な人から視聴順についての意見を聞いた。「時系列順で見た方がいい!」とか「作画が綺麗なufotable版から見ればいい!」とか「放送順で見た方がいい!」とか。

それで結局「放送順で見よう!」と思ってスタジオディーン版の『Fate/stay night』から視聴したのだけれど、やはりこれは正解だった。そして放送順ではなく、まずは『Fate/stay night』の3つのルートを全て視聴して、それから『Fate/Zero』を視聴したほうがいいという結論に達した。なぜなら『Fate/stay night』は過去を深掘りしていく系のストーリーだったからだ。

個人的に、ストーリー展開は2パターンあると考えている。キャラの過去を深掘りするスタイルと、キャラの未来を少しずつ描いていくスタイルだ。もちろん、どちらか片方だけということはない。この2つのスタイルを組み合わせながら、物語は紡がれていく。

それでいくと『Fate/stay night』は”キャラの過去を深掘りするスタイル”でストーリーを広げていくことが多い。キャラに関する新事実が明らかになり、それに伴いストーリーが進むという感じだ。

そうなってくると、いきなり全てをネタバレされるであろうことが予想される『Fate/Zero』を先に視聴しない方がいいと、僕は必然的に考える。実際僕は、セイバールートを先に視聴した結果、遠坂凛や間桐桜の過去がすごく気になった。どうせならエモーショナルな形で、2人の過去を体感したい。だとすると、やはり先に『Fate/stay night』を全て視聴した方がいい気がする。

さいごに

とりあえず『Fateシリーズ』における最大の壁であるスタジオディーン版の『Fate/stay night』は視聴した。もはや勝ったも同然。笑

個人的に、思ったよりもスタジオディーン版のクオリティが悪くなかったので、これがufotableによってブラッシュアップされるのであれば、相当期待できる。速攻で視聴したいと思う。→視聴しました。

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