劇場版 Free!-the Final Stroke-後編 感想:評価(レビュー)

Free!FS後編

今回は『劇場版 Free!-the Final Stroke-後編(以下、Free!FS後編)』について語っていく。

『Free!FS前編』が2021年9月に上映された後、『Free!FS後編』が2022年4月に上映された。

アニメ制作会社は京都アニメーションが担当している。

目次

『Free!FS後編』の感想

ネタバレしているので、未視聴の人は気をつけてください!

感想①:いつもの京アニとは違う

『Free!』の劇場版の特徴として、冒頭部分で客観的な目線での演出が施されることが挙げられる。テロップなどの演出を施しながら回想シーンで過去のシナリオを軽くおさらいする、という流れだ。

『Free!FS後編』もこの特徴を引き継いでいる。だが、今までよりもガッツリ演出が施されている印象だった。前半部分に関しては、時系列がかなりグチャグチャだったと思う。
今までの『Free!』はシナリオが整然と並んでいたので、ストーリーが分かりやすかった。しかし、『Free!FS後編』の前半部分の展開は、正直分かりづらかった。

でも僕は、これは京アニの粋な演出だったように思える。『Free!FS後編』の前半部分は、七瀬遥(CV.島崎信長)と松岡凛(CV.宮野真守)の精神状態が非常に悪かった。これを「グチャグチャな時系列」で表現したかったのではないだろうか。
実際、僕はもどかしい気持ちでスクリーンを眺めていた。ちょっと胸糞悪いというか、スッキリしない。これってある意味、遥と凛に没入していることになるのではないだろうか。

いつもの京アニとは違った演出だったなぁと思う。『Free!FS後編』でも、京アニはチャレンジ精神を忘れていなかった。

感想②:ご都合主義が目立つけれども…

今までの『Free!』でもご都合主義なストーリーが目立っていたけど、『Free!FS後編』はもっとご都合主義だった。登場人物の多くが世界大会に出場し、遥は世界大会決勝をまさかの棄権。からの、リレーで復帰して最終的には金メダル。これはもう明らかにご都合主義だ。

だが、僕はラストのスイムシーンで不思議と涙が流れてきた。いつもの京アニだったら「ここで泣け!」と言わんばかりの演出だけど、今回は違う。理屈では説明できない感動があったのだ。

一体なぜ泣けたのだろうか。遥、凛、山崎宗介(CV.細谷佳正)、桐嶋郁也(CV.内山昂輝)の4人が泳いだリレーだったからか。遥のコーチを務める東龍司(CV.草尾毅)がゴールまで堪えきれずに泣いてしまっていたからか。葉月渚(CV.代永翼)とか竜ヶ崎怜(CV.平川大輔)の懸命な応援に心打たれたからか。
どれも重要な要素ではあったが、決定的なものではない。やはり、あのスイムシーンはスポーツ特有の感動を完全に再現できていたとしか言いようがない。

『Free!FS後編』の評価

作画93点
世界観・設定85点
ストーリー80点
演出90点
キャラ83点
音楽80点

作画

改めて見ると、水泳の動きが凄い。3DCGなのか手書きなのか判別できないぐらいのクオリティだった。

世界観・設定

「20過ぎればただの人」という設定が最後まで残り続けた。『Free!1期』放送当時は、この言葉がここまで響いてくるとは思わなかっただろうな。
結局、遥は「ただの人になっても」泳ぎ続ける選択をしたけれども、これが映像で見れることはもうないだろう。

ストーリー

流石にご都合主義なストーリーだったけど、理屈で説明できない感動があったのも事実。前半の展開の作り方は巧みだった。実写映画と違ってアニメには編集がないわけだから、この展開をゼロから作ってることになる。これは普通に凄いことだろう。

演出

ラストの世界大会編の演出には痺れるものがある。スポーツって自然と感動する時があるけど、それがリアルに表現されていた。

キャラ

『Free!』の場合、キャラの数が大所帯になりつつあったけど、最後は上手くまとまったのでは?

音楽

BGMが良かったなぁと思います。こういう楽曲をEDMで作ってみたいと思わされる。

『Free!』がついに完結した…

ついに『Free!FS後編』が完結した。「まだ続くと思う!」という意見もあったりするけど、あのエンディングの感じだと、完全に完結すると思う。『Free!』は、公開すれば確実に売れるコンテンツだけど、「いつまでも頼ってばかりではいけない」と判断されたのだろう。

実際、放火事件の影響でリソースを大きく失った京アニが、『Free!』をキープしながら新規コンテンツも展開するのは中々厳しい。従来の京アニは毎年のように新規コンテンツを展開していたが、2018年に放送された『ツルネ』以降、新規コンテンツが制作されていない。そう考えると、やはり『Free!』は一区切りつけなければいけなかった。

今後の京アニは新規コンテンツに注目だ。

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