【フルメタ1期感想】ウィスパードとブラックテクノロジー

フルメタル・パニック!

今回は『フルメタル・パニック!』のTVアニメ1期(以下、フルメタ1期)について語っていく。

『フルメタ』は賀東招二のライトノベル(富士見ファンタジア文庫)が原作で、2002年冬クールから2クールにかけて『フルメタ1期』が放送された。アニメ制作はGONZOが担当している。

目次

『フルメタ1期』の評価

※ネタバレ注意!

作画79点
世界観・設定79点
ストーリー78点
演出70点
キャラ77点
音楽83点
※個人的な評価です

作画

「期待値以上に作画のクオリティが高かった」というのが本音。2000年代前半のアニメだから、作画のクオリティはそこまで高くないと思っていたけれど、戦闘シーンはかなりよくできているし、3DCGもガンガン使っていた。あとは日常シーンで作画崩壊していなければなぁという感じ。特に第8話『パートタイム・ステディ』は酷い。笑

世界観・設定

典型的なSFロボット作品である一方で、ミリタリー要素も強く、学園ラブコメ要素も強いなぁという感じ。個人的にはブラックテクノロジーの世界観が好みで、その点でヒロインの使い方が良いと思う。

一方で、ラブコメ要素の必要性をあまり感じないのが正直なところ。Wikipediaによると、『フルメタ1期』は原作に比べてラブコメ要素がかなり強くなってしまったらしい。

ストーリー

先ほども述べた通り、ラブコメ要素が強くなったことに伴い、アニメオリジナルエピソードで学園ラブコメシーンがかなり挿入されたらしい。一方で、2クールかけて原作3巻分をアニメ化しているので、尺はたっぷりある感じになった。でも、その割には学園ラブコメの部分がおざなりになっているので、なんだかなぁという感じではある。ちなみに、シリアスパートはめちゃくちゃ面白かった。

演出

個人的には第15話から第17話の『故郷に舞う風』の演出とシナリオが好みなのだけれど、あれはアニメオリジナルエピソードで、しかも原作から大きく設定を変えているらしい。

また、相良宗介と千鳥かなめが喧嘩したあたりの演出は中々良かったと思う。

キャラ

想像以上に相良宗介が深掘りされてたなぁという感じ。千鳥かなめのウィスパードの設定やブラックテクノロジーに関しては、思っていたよりも深掘りされなかった。EDであれだけ千鳥かなめの写真が登場したのに、千鳥かなめの過去が深掘りされなかったのは意外。これは続編で深掘りされるということなのか。

個人的には、普通に主人公の相良宗介が好み。声優が関智一ということで『PSYCHO-PASS』の狡噛慎也と重ねてしまう自分がいた。そして相良宗介はどうやら、ラノベ界でもかなり人気のキャラクターらしい。納得。

音楽

主題歌がめちゃくちゃに良い。OPの『Tomorrow』は『フルメタ1期』におけるボーイ・ミーツ・ガール要素を凝縮した楽曲で、爽やかなメロディーが抜群に決まっている。OPの映像が使い回しなのが残念だけど、かなめが敬礼するシーンはなんかエモかった。

『フルメタ1期』の感想

※ネタバレ注意!

雰囲気が良き

『フルメタ1期』は2002年に放送されたアニメで、2000年生まれの僕からすると、非常に古いアニメということになる。僕にとって2000年代前半の作品というのは、不思議なノスタルジーを感じさせる作品なのだ。

その中でも『フルメタ1期』は、かなり雰囲気のいい作品だった。やはり学園ラブコメのエピソードは微妙だけれど、シリアスパートがとても良かった。ラブコメ要素を一旦無視したときの、相良宗介と千鳥かなめの関係性が、絶妙なのである。このなんとも言えない距離感がボーイ・ミーツ・ガールらしいなぁと思うし、性欲まみれの現代ラブコメとは違った雰囲気を醸し出している。

何よりも、主題歌の『tommorow』が雰囲気作りに一役買っていると感じる。清々しさを感じるメロディーからは、少年少女の青春はもちろんのこと、広大な世界を駆け回る軍隊の運命みたいなものも感じさせられた。

普通に、このボーイ・ミーツ・ガール作品が一体どのような結末を迎えるのかが気になる。

ブラックテクノロジーとウィスパード

SF作品としての『フルメタ1期』における特徴的な設定は、ウィスパードとブラックテクノロジーだと思う。『フルメタ1期』の世界観は実際の史実とほぼ同じだが、1981年のウィスパードの登場が、物語の根幹を握っている。

Wikipediaによると、ウィスパードとは「知っているはずの無い、この世の誰にも知りえないはずの知識」のことで、ウィスパードによってもたらされた理解不能な技術のことをブラックテクノロジーと呼ぶそうだ。事実上、ウィスパードは魔術使いのようなものなのだと思う。

『フルメタ1期』に登場する人智を超えた技術は基本的にウィスパードによって発見されたもので、ミスリルの拠点にもなっている巨大潜水艦である”トゥアハー・デ・ダナン”も、ウィスパードであるテッサ(テレサ・テスタロッサ)によって造られたものだと考えられる。

これが『フルメタ1期』のSF作品としての特徴だが、これは現実世界でも同じことが言えると思う。プログラミングを知らない人からしたら、この世に存在するコンピュータやアプリケーションはブラックテクノロジーのようなものだと思うし、高水準の開発技術を持つエンジニアは、まるでウィスパードのように、世界中の企業からハンティングされている。

そしてこれからは、AIの発展によって、いよいよ正真正銘のブラックテクノロジーが登場することになる。普通の人間が理解できない技術が、AIによってどんどん開発されるようになるのだ。おそらく、このブラックテクノロジーを理解できるのは一部のAIエンジニアのみであり、『フルメタ1期』ほど悲観的ではないにしても、見方を変えるとディストピア的な世界になるのではないかと思う。

僕たちはこの世界に備えて、まず”ブラックテクノロジー”に対してどのように向き合うかを考えた方がいいだろうし、ブラックテクノロジーとウィスパードとの適切な距離感が、何よりも重要になると思う。

さいごに

『フルメタ1期』は「想像以上に面白かった」というのが本音で、これから視聴する『ふもっふ』や『フルメタ2期』は京都アニメーション制作だから、はたしてどのような仕上がりになっているかが非常に楽しみだ。

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