【フルメタふもっふ感想】京アニギャグアニメの原点にして頂点

フルメタル・パニックふもっふ

今回は『フルメタル・パニック?ふもっふ(以下、フルメタふもっふ)』について語っていく。

『フルメタ』は賀東招二によるライトノベル(富士見ファンタジア文庫)が原作で、2002年冬クールから2クールにかけてTVアニメ1期が放送された。そして2003年8月から、スピンオフ作品である『フルメタふもっふ』が放送される。

アニメ制作は京都アニメーションが担当した。

目次

『フルメタふもっふ』の評価

※ネタバレ注意!

作画85点
世界観・設定85点
ストーリー88点
演出92点
キャラ90点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

京都アニメーション初の元請け作品だが、やはり当時からクオリティは高かったようだ。キャラクターがよく動く。ゼロ年代は「ヌルヌル動くこと」が「作画がいい」とみなされていた傾向があるように思える。『フルメタふもっふ』も例外ではない。ただし『フルメタふもっふ』はギャグアニメでこの「ヌルヌル」をやってしまうからすごいと思う。しょうもないギャグに全力を注いでいる感じが、なんとも馬鹿らしい(いい意味で)。

世界観・設定

『フルメタ』のシリアスな雰囲気が90%排除されている。では、残りの10%は何かというと、それは相良宗介と千鳥かなめのラブコメ展開だけ。それ以外は全てギャグに全振りされている。ブラックテクノロジーやアームスレイブは一切登場せず、ミスリスのメンバーの登場回数も少ない。基本的には学園ラブコメ作品となっている。

そしてこれが、めちゃくちゃに面白い。相良宗介のぶっ飛んだボケと千鳥かなめのツッコミがドンピシャで決まっている。

ストーリー

基本的には完全にギャグ展開で、たまーにシリアスな雰囲気のシナリオが挿入される構成。ゼロ年代って感じの古いボケなのだけれど、2000年生まれの僕が見ても、普通に笑えた。クスッと笑える感じではなく、ガチで声を出して笑ってしまった。

また、ときたま挿入されるラブコメ展開も良かったし、クラスメイトがテッサを見送るシーンもめちゃくちゃ良かった。こういうのはめちゃくちゃ京アニっぽい。

演出

『フルメタふもっふ』のギャグは、普通にシナリオや雰囲気で笑えるのはもちろんのこと、キャラクターの動きで笑えてしまうのが素晴らしい。大半のギャグアニメは、声優の演技や雰囲気で笑ってしまうものだけれど、『フルメタふもっふ』はキャラクターの動きで笑えてしまう。アニメにしかできないやり方だ。

キャラ

『フルメタふもっふ』はキャラクターがぶっ飛んでる。まず、相良宗介が想像以上にボケ特化だった。ど直球の戦闘バカが、ここまでボケ特化型になるとは。それと、ヒロインの千鳥かなめのツッコミのキレが抜群。というか『フルメタふもっふ』では、かなめがめちゃくちゃ可愛く見えてしまう。これが京アニの力か……。

2話だけ登場したテッサも最高。マジでめちゃかわ。個人的にはミスリルのウェーバーとマオもガンガン出して欲しかったなぁと思う。

音楽

TVアニメ1期と同様に、OPとEDでは下川みくにが起用。どちらもアニメの雰囲気からは程遠い直球スタイルの良曲だった。個人的にはEDの『君に吹く風』の方が好き。

『フルメタふもっふ』の感想

※ネタバレ注意!

『善意のトレスパス』と『五時間目のホット・スポット』が好きすぎる

『フルメタふもっふ』にはいくつもの名エピソードがあると思うけど、個人的には第5話Bパートの『善意のトレスパス』と最終話『五時間目のホット・スポット』が好きだ。

『善意のトレスパス』は、相良宗介と椿一成が校務員の大貫氏の手伝い勝負をすることに。しかし宗介と一成は善意で色々とやってはみるものの、あらゆるものを破壊してしまう。だが大貫氏は心が広い。「2人とも頑張っているから……」ということで、2人のことを認めかけたが、宗介と一成は大貫氏がずっと可愛がっていた裏庭の鯉を調理して大貫氏に提供。そこから大貫氏が大激怒し、アニメ史に残る大激闘を繰り広げることになる。
『善意のトレスパス』のトレスパスは「法的に認められない手段で他者の権利や財産を脅かす行為」のことで、まさに宗介と一成が大貫氏に対して行なった行動である。『善意のトレスパス』は王道のギャグ展開なのだが、あまりにアニメーションに力が入っていて、それがめちゃくちゃに面白い。特に宗介と一成がベンチを壊すシーンの描写が個人的に好きだ。

そして『五時間目のホット・スポット』だが、これは宗介が持ち込んでしまった細菌兵器で、クラスが壊滅するというもの。最初から最後まで宗介が引っ掻き回す。まず宗介が細菌兵器を持ち込み、クラスが人間らしさを取り戻すタイミングで「1つだけワクチンがある」と言い始め、そしてくじ引きで宗介がワクチンを手に入れ、最終的に細菌兵器が「化学繊維を溶かすだけのしょうもない兵器」だったことが明らかになる。『五時間目のホット・スポット』も王道のギャグ展開ではあるものの、アニメーションとしてのクオリティが優れていることに加え、宗介のアホ丸出しな感じが完全にマッチしていた。

どちらのエピソードも、僕が声を出して笑ってしまうほど面白いもので、そういえば久しぶりにアニメで声出して笑ったなぁと思う。

京アニギャグアニメの原点にして頂点?

京アニの元請け制作の歴史は『フルメタふもっふ』から始まった。このあと、京アニは『フルメタ』のTVアニメ2期を制作し、それからKey作品とKADOKAWA作品を制作して、圧倒的な支持を得ることになる。この伝説の始まりが『フルメタふもっふ』で、そしてこの作品は、れっきとしたギャグアニメだった。

ここ最近の京アニは繊細な心情描写を売りにしているが、言われてみれば2000年代の京アニといえば「ギャグ」がだった。『フルメタふもっふ』から始まり、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『らき☆すた』、『けいおん!』と続いていく。『AIR』や『CLANNAD』などのKey作品は感動の印象が強いけど、よくよく考えてみると、独特のボケが印象的な作品でもあった。

だからこそ『フルメタふもっふ』は、京アニギャグアニメの原点に位置する作品だ。そして”個人的”に『フルメタふもっふ』は、京アニギャグアニメにおける原点にして頂点だと思っている。なぜなら、何度も声を出して笑えたから。僕は本当にあらゆる京アニ作品(というかほぼ見た)を視聴したけど『フルメタふもっふ』が一番笑えた。純粋にギャグが面白いというのもあるし、『甘ブリ』に引けを取らないぐらいブラックユーモアだったのも大きい。何よりも『フルメタ』のシリアスなストーリーとのギャップが大きいと思う。僕にとって『フルメタふもっふ』は、とあるシリーズにおける『禁書目録たん』や『MMR』みたいなもので、このパロディな雰囲気がめちゃくちゃ好きなんだと思う。

さいごに

やっぱり京アニが制作する『フルメタふもっふ』は面白かった。TVアニメ1期も中々良かったけれど、京アニには敵わない。

そして次の『フルメタ2期』もめちゃくちゃ楽しみである。『フルメタふもっふ』が異常なだけで、本来の『フルメタ』はもっと硬派で、それでいて甘酸っぱいボーイミーツガール作品なのだ。それを京アニがどのように演出してくれるのか、めちゃくちゃ楽しみだ。早速視聴したいと思う。

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