【奪還のロゼ第1幕】めちゃくちゃおもしろいんだが

奪還のロゼ第1幕

今回は『コードギアス 奪還のロゼ 第1幕』について語っていく。

『コードギアス』は2006年からスタートしたサンライズのメディアミックスプロジェクトで、2019年に『コードギアス 復活のルルーシュ』が上映され、そこで一区切りがつく。

そして2024年5月に『復活のルルーシュ』から約5年後が舞台となる『奪還のロゼ第1幕』が劇場公開される。アニメ制作はサンライズが担当した。

目次

『奪還のロゼ第1幕』の評価

※ネタバレ注意!

作画88点
世界観・設定・企画83点
ストーリー85点
演出80点
キャラ85点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

『亡国のアキト』と同じように、戦闘シーンは地上戦がメインで、3DCGの背景を組み合わせたダイナミックなカメラワークが素晴らしかった。この作画を見るためだけに、映画館で鑑賞する意味があると思う。キャラクターデザインの安定度も相変わらずで、雰囲気が『反逆のルルーシュ』から変わっていないのも好印象だ。

世界観・設定・企画

『復活のルルーシュ』から5年後の世界ということで、前作のキャラがちらほら登場しているのが、古参のファンとしては嬉しいポイント。ネオブリタニア帝国が北海道を占領するというのは、ちょっと唐突な気もするが、確かに日本を舞台にするなら、北海道ぐらいしか選択肢がないのも事実だ(沖縄はセンシティブ)。

ストーリー

ストーリーが最高に面白い。ルルーシュが初めてギアスを使う場面ほどのインパクトは無いけど、それ以外の部分では『反逆のルルーシュ』に匹敵するレベルだ。前作キャラの使い方もちょうど良い。何よりも序盤で、いきなり衝撃の事実が明らかになるので、ここから物語がどう進んでいくのかがとても気になる。

演出

特別、演出が個性的という事は無いけど、常に視聴者にとって見やすい王道の演出が用いられていたように思う。それとやっぱりギアス発動シーンはカッコいい。

キャラ

基本的には新キャラを活躍させつつ、前作キャラの登場もちらつかせていて、そのバランスはちょうどいい。一方で「やっぱりルルーシュ頼りか……」というのもある。

また、主人公のロゼが最高に良いキャラをしている。何といっても女の子なのだ。それでいて中性的な男性キャラという側面もあるので、ギリギリBLが成立する。

音楽

主題歌は普通にカッコいいけど、FLOWの『CALORS』やEDの『モザイクカケラ』ほどの名曲感はない。

それと劇伴はやっぱりカッコよくて、とにかく盛り上がる。

『奪還のロゼ第1幕』の感想

※ネタバレ注意!

めちゃくちゃおもしろいんだが

なんとなく『復活のルルーシュ』の続きの世界観というのは知っていたけど、それ以外の前情報はなしで『奪還のロゼ第1幕』を鑑賞させてもらった。正直に言うと、あまり期待はしていなかった。なぜなら『亡国のアキト』が微妙だった記憶があるからだ。

だがいい意味で裏切られる。『奪還のロゼ第1幕』がめちゃくちゃ面白かったのだ。具体的に言えば『反逆のルルーシュ』のストーリーの面白さと『亡国のアキト』のアクションシーンのいいとこ取りという感じ。ルルーシュほどのインパクトはないにしても、主人公のロゼ(皇サクヤ)も相当のインパクトがあった。

また、新キャラと前作キャラのバランスもちょうどいい。基本的には新キャラが中心の物語だが、前作キャラも適度に登場する。第2幕の予告でニーナやコーネリアが登場しただけで、なんかブルっときたし、この感じだとスザクやカレンも登場しそうである。ただし、物語の中核にルルーシュがいる気がして、それはそれでおもしろいけど、やっぱりルルーシュ頼りになりそうな点は否めない。だが、前作キャラの登場をトリガーにストーリーを進めていく構成は、全体として良い方向に作用すると思われる。多分、視聴者もその展開を待っている。

反逆ではなく奪還がテーマ

本作のタイトルは『奪還のロゼ』ということで、この奪還には2つの意味がある。1つめは、サクヤの身代わりになった春柳宮サクラの奪還で、もう1つが北海道の奪還である。奪還とは「奪われたものを奪い返す」という意味で、その点で言えば、反逆に比べて奪還の方がヒーローな感じがする。

ルルーシュによる父(ブリタニア帝国)への反逆は、ヒーローというよりはダークヒーローで、多くの一般人を殺しすぎた代償として、ルルーシュは「ゼロ・レクイエム」を実行するという完璧な最期を迎えた。一方の「奪還」からは「反逆」のような悪いニオイはしない。一方でサクヤが抱いているアッシュへの復讐心はマズイ。物語の枠組みとして、大抵の場合、復讐には災難が付きまとう。

サクヤの復讐心とギアスの暴走が重なり「誰かが死ぬ」というのが『奪還のロゼ』の鍵になりそうなのは間違いない。それがルルーシュのときはユーフェミアの死だったわけで、それに相当するショッキングなシーンが『奪還のロゼ』で描かれるのだろう。衝撃度で言えば、やはりネオブリタニア帝国の皇帝に担ぎ上げられたサクラの死が本命か?

物語はチェスで始まる……

『奪還のロゼ第1幕』で個人的に印象に残っているのがチェスのシーンだ。思えば『反逆のルルーシュ』でも、ルルーシュがチェスの代打ちで頭脳明晰ぶりを存分に発揮していて、これがブリタニア帝国への反逆に活かされることになる。同じくロゼ(サクヤ)も相当に頭脳明晰らしく、チェス(戦略)で敵を圧倒していた。これはロゼとルルーシュの共通点の1つである。

しかし、戦争というのは盤上の戦略だけで勝敗が決まるわけではなく、個々人の思惑によって、戦況が大きく左右する。ルルーシュが完璧な戦略を立てていても、黒の騎士団のメンバーが粗相をやらかして、予想もつかない展開になる。それと同じく、今回の『奪還のロゼ』でも、同じような展開が描かれるのだろう。ロゼが完璧な戦略を打ち出すも、何かが起こって想定外の事態が起こる。この予測不可能性が『コードギアス』の最大のおもしろさである。ギアスという願いと呪いは、そのまま人々の願いと呪いに直結する。人々の欲が、ギアスでもコントロールできない。「神は賽を投げない」とはアインシュタインの名言だが、やっぱりそんなことはないだろうと僕は思う。

さいごに

とにかくめちゃくちゃおもしろいので、今後も『奪還のロゼ』は劇場版で視聴していこうと思う。

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