映画 五等分の花嫁 評価:感想:レビュー→映画としては物足りない!?

映画五等分の花嫁
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『映画 五等分の花嫁』について語っていく。

2021年冬クールに『五等分の花嫁2期』が放送された後、2022年5月20日に『映画 五等分の花嫁』が上映された。「5月に上映するんだったら、五つ子の誕生日の5月5日に上映すれば粋な演出になったのに…」と思ったけど、それは内緒にしておく。

アニメ制作は、『五等分の花嫁2期』に引き続き、バイブリーアニメーションが担当した。

目次

『映画 五等分の花嫁』の感想

ネタバレしているので、未視聴の方は気をつけてください!

感想①:推しを浮気しそうになるぐらいの魅力

率直な感想として、『映画 五等分の花嫁』は想像以上に面白かった。五つ子たちのキャラが本当によくできていると思う。

僕は数年前から漫画で『五等分の花嫁』を読んでいて、その時は中野一花(CV.花澤香菜)が推しだった。そしてアニメを見るようになってから中野五月(CV.水瀬いのり)が推しになった。

そして今回の『映画 五等分の花嫁』で、五つ子全員が好きになってしまった。『映画 五等分の花嫁』では五つ子全員が平等に描かれていたので、好感を持ちやすい内容だったといえるだろう。
最終的には中野四葉(CV.佐倉綾音)が花嫁になるわけだけど、なんだかんだで納得がいくし、むしろ四葉推しになりかけるまであった。

感想②:映画クオリティではない

ただし、あくまでも想像以上に面白かったのは「五つ子のキャラの魅力」だけ。ストーリーや作画は、悪い意味で想像通りだった。

まずストーリーに関しては、もっと尺を短くするべきだった。元々『映画 五等分の花嫁』は、原作11巻から14巻の4巻分の内容を映画1本にまとめようとしていた。上映前から「尺は大丈夫なのか?」という声があったのも記憶に新しい。TVアニメ3期として放送するのがベストだったのは言うまでもない。

しかし映画として制作することが決定した以上、尺に対してはシビアに考えるべきだった。できれば90分前後、少なくとも120分は切るべきだ。だが、『映画 五等分の花嫁』の上映時間は136分。上映中にトイレに駆け込む人が続出した。

個人的には、五つ子の親子関係のくだりや、上杉風太郎(CV.松岡禎丞)の幼馴染のくだりは全部カットして良かったと思う。中途半端にやるぐらいなら、重要ではない部分は全部カットして、五つ子と風太郎のやり取りにフォーカスするべきだろう。

そして作画に関しては、映画館で見る必要性を感じなかった。これは作画だけでなく、音楽(音響)でも同じことがいえる。映画だからこそできる画の見せ方や音の使い方がある。だが『映画 五等分の花嫁』にそういった演出は一切なかった。TVアニメクオリティを大きいスクリーンで流しただけだった。

『映画 五等分の花嫁』の評価

作画50点
世界観・設定50点
ストーリー50点
演出60点
キャラ85点
音楽80点

作画

作画は中の中のクオリティ。『映画 五等分の花嫁』というビッグタイトルで中の中のクオリティってちょっとヤバいと思う。

世界観・設定

世界観は原作に忠実にやった感じ。でもここは思い切って原作とは違うことをやるべきだったと思う。

ストーリー

ストーリーは中途半端。とりあえず映像化してみました、って感じのクオリティ。

演出

ヒロインの個性が強調されている感じはよかった。一方で、ストーリーにおける演出はなんともいえない。特に文化祭で各ヒロインのエピソードを紹介する際に「〇〇の場合」みたいなテロップが入ってしまったのは残念。もっとセンスの良いやり方があったはずだ。

キャラ

キャラはめちゃくちゃ良い。本当に全員好きになる。一方で、もし声優がマイナーだったらどんな気持ちだったのかなぁと思うことがある。有名声優だったから思い入れが強くなった、というのも否めない。

音楽

『五等分の花嫁』といえば電波ソングだけど、今回の主題歌の『五等分の軌跡』はかなり大人しい。OPはぶち上げちゃって良かったと思うけど。ちなみにEDの『五等分の花嫁~ありがとうの花~』はめちゃくちゃ良かった。そして挿入歌の『ラブ☆バケーション』は最高だった。親子関係とか全部カットして、これをフルで流すべきだったと思うほど。

マガジンのメディアミックスが不安

『映画 五等分の花嫁』はとても人気で、上映開始から3日間で約4億円の興行収益となっている。これに対し多くのファンが「これはすごいことだ!」と騒ぎ立てている。この調子だと10億越えは間違いない。20億円の大台に乗る可能性も十分あるだろう。

しかし僕はこれを純粋に喜べない。

『五等分の花嫁』には非常に大きなポテンシャルがあった。現代ラブコメの中で最も推し文化を形成しやすい作品の一つだ。しっかりクオリティを向上させていれば、もっと売れていたのは間違いない。

けれどもそのチャンスを潰してしまった。この調子だと『映画 五等分の花嫁』は下手に売れてしまい、「中ぐらいのクオリティでも売れるんだな」と経営陣が考えるようになってしまう。その思考は分かるけれども、それをやるのはマガジン作品ではない気がする。

週刊少年マガジンは、たまにポテンシャルが非常に高い作品を繰り出すことがある。『フェアリーテイル』のような作品だ。しかし、そういった作品に限って、中途半端なクオリティでアニメ化してしまいがちなのである。ジャンプ作品のように、アニメのクオリティを高めるべきなんじゃないかなぁと僕は思う。

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