【グリッドマンユニバース感想】現代SFロボット作品の究極形

グリッドマンユニバース

今回は『GRIDMAN UNIVERSE(以下、グリッドマンユニバース)』について語っていく。

円谷プロダクションの『電光超人グリッドマン』が原作で、2018年秋クールにアニメ制作会社・TRIGGERによる『SSSS.GRIDMAN』が放送。2021年春クールに『SSSS.DYNAZENON』が放送される。

そして2023年春、『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』のクロスオーバー作品である『グリッドマンユニバース』が公開された。アニメ制作はもちろんTRIGGERが担当している。

目次

『グリッドマンユニバース』の評価

※ネタバレ注意!

作画89点
世界観・設定85点
ストーリー88点
演出85点
キャラ85点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

TVアニメと比べても、やはり作画のレベルが上がっている。特に戦闘シーンは凄まじい。ロボットの作画が3DCGなのか手描きなのかの見分けがつかない。そもそもロボットアニメは一般的なアニメよりも線が多いわけで、その分、作画カロリーも高まっていることが考えられる。

また、やはりTRIGGERは画の構図のセンスが抜群に良い。一枚絵としてポスターに飾りたいレベルのカットがいくつも出てくる。

世界観・設定

TVアニメの『SSSS.DYNAZENON』では解明されなかった世界観が、『グリッドマンユニバース』で明らかになる。結論から言えば、それは「グリッドマンが作り出した世界」だった。また、ビジネスマンなら誰もが知る『サピエンス全史』の”虚構”の論説も明確に提示された。

SFロボット作品らしく、メタ的な世界観・設定となっており、見応えが十分にある。だからといってそれに終始するわけではなく、高校生の青春もミックスさせているスタイルが素晴らしい。

ストーリー

SFロボット作品としてのストーリーと、普通の高校生のストーリーが絡み合うストーリー展開だった。これが『SSSS.GRIDMAN』シリーズの最大の魅力と言っても過言ではない。

演出

『グリッドマンユニバース』は会話のテンポ感の演出が素晴らしく良い。特に日常生活の会話のトーンはとてもリアルで、かつキャラの個性をしっかり反映させている。それでいて声と作画の親和性も高い。

また、ロボットの戦闘シーンの演出も中々。強いて不満を述べるなら、映画館のスクリーンだからこそできる広角の画が少なかったことを挙げたい。

キャラ

やっぱりキャラがめちゃくちゃいい。SFロボットというジャンルではあるものの、そこに萌え要素を上手くミックスさせている。久しぶりに新条アカネが見れた!

音楽

主題歌の『uni-verse』は、『UNION』や『インパーフェクト』ほどの中毒性はないものの、劇場版の主題歌にふさわしい壮大なメロディーだったと思う。まあ『uni-verse』という題名なのだから、そりゃあ壮大でなくてはならないのだけれど。

『グリッドマンユニバース』の感想

※ネタバレ注意!

メタ的なストーリー展開と”虚構”

まずはSFロボット作品らしく、考察を楽しもうと思う。まあ考察と言っても、実際のところ、作品の中に答えは提示されている。

まず前提として『SSSS.GRIDMAN』は新条アカネが作り出した世界だった。その世界は、新条アカネのための世界であり、世界中の人々が新条アカネのことを好きになるような世界だ。しかしそこに響裕太というイレギュラーが登場する。そのイレギュラーに付け込む形でグリッドマンが響裕太の意識に入り込み、グリッドマンVS新条アカネが作り出した怪獣の構図が出来上がった。

そして『SSSS.DYNAZENON』では、実のところTVアニメの段階で世界観の説明がほとんどなかった。たしかに登場人物の葛藤は描かれたけれど、世界観の謎が解けていないままだった。その伏線を回収したのが『グリッドマンユニバース』で、『SSSS.DYNAZENON』の世界はグリッドマンが作り出したものであることが明らかになる。

『SSSS.GRIDMAN』の世界と『SSSS.DYNAZENON』の世界が重なり合ってしまったのもグリッドマンの影響で、正確に言えばグリッドマンが宇宙になってしまった影響によるものだった。

ここで重要なのは、フードを被った怪獣少女であるアノシラスが言っていた虚構だ。これは明らかにユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を意識している。『サピエンス全史』では、ホモ・サピエンスが食物連鎖の頂点に立った理由に虚構を挙げた。地球上に存在する生物の中で唯一、ホモ・サピエンスは虚構を信じることができる。僕たちの世界に存在するお金や宗教や法律や国家は、全てこの現実世界に存在しない幻想であるにもかかわらず、人間はそれを完全に信じることができる。一般的に動物の群れはせいぜい最大規模でもせいぜい数千匹程度だ。だが、例えば日本だったら、約1億人の人々が”日本”という名の群れを形成することができる。なぜなら人間は、国家を信じることができるからだ。

そして、僕たちが視聴しているアニメも虚構であり、アニメの中で描かれる世界やストーリーも僕たち人間が作り上げたものだ。だから『SSSS.GRIDMAN』の世界を作ったのが新条アカネであることも、『SSSS.DYNAZENON』の世界を作ったのがグリッドマンであることも、メタ的な考えに基けば説明がつく。

そして、このグリッドマンというのは原作の『電光超人グリッドマン』の頃から存在するグリッドマンと同一人物である。そう考えるとグリッドマンは、新条アカネと同じ三次元の世界の住人なのだ。だから二次元の世界を作り上げることができる。それはもちろん、自身の頭の中(つまり虚構)にしか存在しない世界だ。でも実際のところ、僕たちの世界も”別次元に存在する何者かが作った世界”なのかもしれない。

イーロン・マスクが「人類はコンピューター・シミュレーションの中で生きている可能性が高い」と考えていることは実に有名だ。近代社会までは「神がこの世界を作った」とされていたけれど、急速なスピードで科学が進んでいる現代においては、僕たちが考えられらないようなレベルに到達している高度文明人が、この世界を作ったと想像することも十分に可能である。

このようなメタ的な考えがSF作品の醍醐味であり、『グリッドマンユニバース』はなんだかんだで、SFロボット作品の王道をしっかり押さえている。このスタンスは『SSSS.GRIDMAN』の頃から変わらない。

六花とアカネがヤバい!

久しぶりに六花と新条アカネが登場したけれど、やっぱり可愛すぎる。

まず両者共通して、会話のトーンがめちゃくちゃ良い。これは『SSSS.GRIDMAN』から制作陣がずっとこだわってきた部分だと思うけれど、高校生活がとにかくリアルに描かれている。その中で、女子高生の気怠けがしっかり演出されているのだ。もちろん六花やアカネだけでなく、全登場人物で会話のトーンにこだわりを感じる。

そしてキャラデザを見ていくと、六花は下半身がエロすぎると思う。時折魅せてくる太ももがとにかくエロい。それを含めて、やはりTRIGGER制作のアニメは画の構成のセンスがめちゃ良いのだ。これぞ”一枚絵としてポスターに飾りたいレベルのカット”なのである。
あと、あれも良い。裕太と立花がコンビニで買い出しした帰りに、裕太が六花に告白しようとするシーン。ここで六花はブランコに乗りながら仰向けになるのだけれど、これもちょっと……というかだいぶエロい。そして可愛い。でも多分、この動き自体は、六花が「裕太が告白してくる」ことを察知して居ても立っても居られなくなり、思わず体を動かした結果、逆にエロい動きになってしまったのだと僕は考察している(これぞまさに考察!)。

一方の新条アカネは、まず大前提として三次元版の新条アカネが可愛いところから語らなければならない。流石に実在する女優の方のエロさを語るのはちょっとアレなので割愛するけれど、それにしても可愛い。一応紹介すると、新条アカネ役を務めたのは月森湖子という方なのだけれど、なぜか彼女の出演実績に『SSSS.GRIDMAN』の文字はない。
それで肝心の新条アカネ(二次元版)は、六花が下半身担当だったらアカネは上半身担当だ。とにかく胸が大きいし、柔らかみを感じる。そして声が良い。
『グリッドマンユニバース』では魔法少女さながらの変身シーンで登場する。おそらくこのシーンが、本作におけるアカネの最大の魅せ場だった。もちろん、胸もちゃんと強調されている。

一応言っておくが、この『グリッドマンシリーズ』の最大の魅力は、SFロボット作品と現代的な萌えアニメのミックス具合にある。『グリッドマンシリーズ』は本格的なSFロボット作品として楽しむことができる一方で、現代的な萌え要素も含まれている。
この「SFロボット作品×萌え」を初めて世間一般に広めたのが『新世紀エヴァンゲリオン』だと思う。そしてそれ以降の「SFロボット作品×萌え」における一つの完成形が『グリッドマンシリーズ』だと僕は解釈している。

もちろん『コードギアス』や『マクロスF』も十分に面白いが、それはあくまでも作品として面白いというだけで、”SFロボット作品と現代的な萌えアニメのミックス具合”という部分ではまだまだ甘い部分がある。それこそSFロボット特有の世界観や現代的な萌えアニメにおけるキャラの作り方に関しては、『グリッドマンシリーズ』の方が何枚も上手だと僕は考えている。というか”SFロボット作品と現代的な萌えアニメのミックス具合”に関しては、数あるSFロボット作品の中でも間違いなく『グリッドマンシリーズ』がNo.1だ。

さいごに

多分、『グリッドマンユニバース』をもって『グリッドマンシリーズ』は完結になると思う。

それにしてもTRIGGERはやっぱりすごい。これほどの面白いアニメをここまで安定して作れるアニメ制作会社はほとんどない。いや、もしかしたら京アニを抜いてナンバーワンかもしれない。

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