今回は『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(以下、ひげひろ)』について語っていく。『ひげひろ』は角川スニーカー文庫によって刊行されていたライトノベルだ。2021年6月段階で累計発行部数は200万部を突破している。注目するべきなのは、漫画合わせて11巻ほどしか刊行されていないのに200万部も発行されている点だ。1巻辺りの発行部数が非常に多い正真正銘の人気作であることは間違いない。
アニメ制作会社はproject No.9だ。『友崎くん』をそこそこ高いクオリティで制作してくれたので、個人的に結構注目している作品だ。
『ひげひろ』の感想
感想①:JKを同棲させる犯罪的アニメ
『ひげひろ』は主人公の社会人男性がJKを同棲させるという犯罪的なアニメとなっている。2021年春クールでは社会人男子とJKのラブコメを描いた『恋きも』が放送されていたわけだが、”同棲”というパワーワードがつくだけでここまで印象が異なるとは思わなかった。
JKを同棲させるということで、社会人男子にとっては夢のある内容となっているがTVアニメでは悲観的なエピソードが続いていく。原作を読んでいるわけではないけれども、原作だともう少し楽観的なエピソードが多いのだろう。一応、原作の5巻分の内容を1クール13話に収めているので、ストーリーの本筋に合わない日常パートはカットされたのかもしれない。
感想②:1クールの中で綺麗に完結してる
1クールの中で綺麗に完結した印象がある。結果的に王道スタイルでラブコメ展開は終了したかな。しかも原作は5巻+1巻しかないので、購買率も高そうだ。シリーズ全体としてすごくコスパの良い作品になった。
ここ最近、漫画・ラノベ業界では効率的なコンテンツ生成を目指していて、漫画では20巻、ラノベでは10巻ぐらいで完結するように目指している印象がある。しかしラノベの場合、市場規模的に単発で大きな売上を出すのは難しいので、スピンオフやコミカライズなどで横展開するケースが多い。
『ひげひろ』の場合、本筋のストーリーが5巻で完結していて、それでいてシリーズ累計発行部数は200万部を突破しているわけなので、非常にコスパのいい作品としかいいようがない。1冊500円計算だとしても10億ぐらいの経済効果を出しているわけだし。それでアニメの方の収益もあるわけだからすごいスピーディだ。
『とらドラ!』なんかは2クールに収まるぐらいのエピソード量だったわけだけど、今後は『ひげひろ』のように1クールに収まるぐらいのエピソード量の作品が増えてくるかも知れない。
『ひげひろ』の評価
作画 | 70点 |
世界観・設定 | 70点 |
ストーリー | 60点 |
演出 | 60点 |
キャラ | 75点 |
音楽 | 60点 |
作画
作画は現代アニメの基準点。これぐらいの作画で作っていただければひとまず文句はない。
世界観・設定
社会人が女子高生を拾うという犯罪級の設定。そしてちゃんとラブコメしてた。
ストーリー
ストーリーはなんだかんだで王道展開だと思う。1クールの完成度でいったら結構高い。
演出
演出はぼちぼち。泣きすぎるのは、個人的にあまり好きじゃないんだけどね。
キャラ
ヒロイン3人がとても可愛らしい。JKだけじゃなくて会社の上司後輩も可愛かったからバランス取れてた。
音楽
音楽も普通に良かった。
さいごに
『ひげひろ』は内容もビジネスも現代ラブコメの代表的な作品となった印象がある。無駄な要素をしっかり省いてコスパの良い作品に仕上がった。電撃文庫は今後こんな感じにメディアミックスを進めていくのだろう。とはいえ『禁書』や『魔法科』のような長編シリーズも定期的にアニメ化してほしいと、一人のファンとして思い続けている。