劇場版 呪術廻戦 0 評価:感想→音楽をフル活用した演出が良い

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『劇場版 呪術廻戦 0』について語っていく。

2020年秋クールから2021年の冬クールの2クールにかけて、TVアニメの『呪術廻戦』が放送された。そして2021年12月、『劇場版呪術廻戦0』が放送される。『劇場版呪術廻戦0』はTVアニメ『呪術廻戦』の前日譚となっていて、特級呪術師の乙骨憂太が主人公だ。

そして『劇場版呪術廻戦0』のアニメ制作は、TVアニメに引き続きMAPPAが担当している。

https://terukun.blog/jujutsu1/
目次

『劇場版呪術廻戦0』の感想

ネタバレしているので、未視聴の方は気をつけてください。

感想①:音楽を用いた演出

『呪術廻戦』は音楽を用いた演出が印象的だ。TVアニメ『呪術廻戦』で言うと、第24話『共犯』が該当する。

第24話『共犯』では虎杖悠仁と釘崎野薔薇が共闘するシーンが描かれている。この共闘シーンがストーリーにおいてそこまで重要ではないのは、原作を読んでいない僕でも分かる。しかし、TVアニメの尺を考慮すると、この共闘シーンは『呪術廻戦1期』のクライマックスに持ってくるしかない。ということで音楽をフル活用した演出で、多くの視聴者を痺れさせた。

これに近い演出が『呪術廻戦0』でも用いられていた。『呪術廻戦0』の序盤、乙骨憂太が呪術高専の廊下を歩くシーンだ。ここで”物語の始まり”を想起させる爽やかなEDM(曲名が分からないけど!)が流れる。グローバルを狙った演出であるのは言うまでもない。

一方、乙骨と夏油傑が戦うクライマックスシーン。勢いで持っていくジャンプ漫画の王道バトル展開が表現されていたし、作画・構図のインパクトも印象的だった。しかし、TVアニメ第24話のあのシーンと比べてしまうと、ちょっと弱いかなと思う。

僕はTVアニメをMacbook AirとAirPods Proで視聴した。『呪術廻戦0』は当然映画館で見ている。普通に考えれば、映像も音も映画館の方が優れているだろう。それでも僕の中では第24話の方が印象に残り続けている。

感想②:なぜ呪術廻戦の演出はセンスが良いのか

『呪術廻戦0』を視聴して感じた。『呪術廻戦』の音楽を用いた演出は、サビをうまく活用しているからセンスがいいのだ。

例えば『あの花』。『あの花』といえばZARDの名曲『secret base〜君がくれたもの〜』が有名で、この曲が挿入されると大体感動する。僕もめちゃくちゃ泣いた。

だが、僕の中では『あの花』の評価はあまり高くない。今まではそれが上手く言語化できなかったけど、やっと理解できた。『あの花』の『secret base〜君がくれたもの〜(以下、sevret base)』を用いた演出は、感動するシーンに合わせて曲を挿入するだけのものなのだ。クライマックスに”とりあえず”挿入しておけばOKで、あとはZARDが生み出した『secret base』の力技で視聴者を感動させることができる。それは『secret base』の楽曲センスが良いのであって、演出そのもののセンスではないのだ。まあそもそも、『あの花』は『secret base』の曲をベースにしてストーリーが構成されているわけで、その部分にセンスの良さが凝縮されている。だから『secret base』でゴリ押すのは正しいと言えるだろう。

一方『呪術廻戦0』は『あの花』とは少し違うアプローチだ。楽曲の記号性を抽出し、それをアニメの演出に採用している。クライマックスにとりあえず挿入するのではなく、サビに合わせて戦闘シーンのボルテージを上げたり、リズムに合わせてカットが切り替わったりするのだ。

これがアニメ制作において非常に難しいことは、僕でも分かる。音楽に合わせて作画をコントロールするのは、制作陣全体が上手く連動しないとできないことだからだ。だからこそ『呪術廻戦0』の演出は、他作品のバトルものと比べてもズバ抜けている。

『劇場版呪術廻戦0』の評価

作画93点
世界観・設定80点
ストーリー80点
演出90点
キャラ85点
音楽80点

作画

作画のクオリティは非常に高かった。特に戦闘シーンの構図が良い。MAPPAらしさが出ている。

世界観・設定

世界観も悪くなかった。個人的には、都会の闇の部分を背景美術にもっと落とし込んだ方がよかったかなと感じる。

ストーリー

ストーリーは思っていたよりも平坦で、インパクトは抑えめだった。だが、全然飽きないから不思議だ。

演出

上述した通り、音楽を用いた演出が素晴らしかった。感動シーンの部分はもっと泣かせにいってよかったと思う。

キャラ

TVアニメの『呪術廻戦』の2年生の深掘りだった。なんだかんだで良いキャラしてる。それに加えて、サブキャラの戦闘シーンが見れたのもよかった。いずれは本編でも活躍するんだろうな。

音楽

音楽単体のインパクトはそこまでだった。ただ、使い方が上手だとは感じる。

さいごに

『劇場版呪術廻戦0』のラストシーンは、原作にはなかったエピソードらしい(僕は原作を読んでいない)。ということで、乙骨憂太を軸としたストーリーが、劇場版で上映され続けることも十分あり得る。

現段階で『劇場版呪術廻戦0』は、11日間で興行収入58億円という驚異的なヒットを出している。続編制作はほぼ間違いないだろう。今後の『劇場版呪術廻戦』の動向には注目しておきたい。

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