難解な世界観も、2周目で大体理解できるようになる

境界の彼方過去篇

今回は『劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 過去篇(以下、劇場版境界の彼方過去篇)』について語っていく。

『境界の彼方』は鳥居なごむによるライトノベルが原作だ。そして2013年秋クールに『境界の彼方』がTVアニメで放送される。

その後、2015年3月に『劇場版境界の彼方過去篇』が公開された。

アニメ制作は京都アニメーションが担当している。

目次

『劇場版境界の彼方過去篇』の評価

※ネタバレ注意!

作画87点
世界観・設定78点
ストーリー75点
演出79点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティはやっぱり高い。新規カットもそれなりに挿入されていた。

世界観・設定

実質的な2周目なので、世界観への理解度も流石に深まってくる。要するに妖夢とは、人間の弱さだったわけだ。そう考えると『境界の彼方』の世界観が全体的にしっくりくる。

ストーリー

TVアニメの総集編だが、尺はなんと82分。かなり短い。実際、相当量のシーンがカットされていた。特に大幅カットされていたのが伊波桜関係のシーン。でもこれは全部アニメオリジナルらしいので、カットしてもストーリーの大筋が崩れることはない。

なお、TVアニメを見ていない人がちゃんと楽しめる作りではなかったと思う。TVアニメ視聴済みの人向けの復習用という感じだ。

演出

京アニって感じの演出だった。『氷菓』や『中二病』から蓄積されたノウハウがしっかり反映されている感じである。

あと、冒頭で『約束の絆』のシーンを挿入したのは良かった。結局『劇場版境界の彼方過去篇』で一番気合が入っていたのは、この『約束の絆』だったと思う。

キャラ

キャラはTVアニメとほとんど変わらず。ただし2周目の視聴ということで、キャラに対する理解は深まったと思う。劇場総集編は退屈だけれど、復習という意味では良い作品だ。

音楽

改めて聞くと『境界の彼方』が中々の名曲だ。特にサビの終わり方がボーイミーツガールって感じがする。

『劇場版境界の彼方過去編』の感想

※ネタバレ注意!

『境界の彼方』が退屈な理由

正直、やっぱり『境界の彼方』は他の京アニ作品に比べると退屈である。結局、84分でまとめられた『劇場版境界の彼方過去篇』ですら、かなり退屈に感じてしまった。

特に終盤。未来が作り出した別世界に、秋人が飛び込んでからがやたらと長い。たしかに重要なシーンなのはわかるが、それにしても退屈だった。

では、なぜ『境界の彼方』が退屈なのか。それは敵キャラが全く魅力的ではないからだ。

バトル系の作品は、味方のキャラ以上に、敵キャラが魅力的でないといけないと思う。『ドラゴンボール』のフリーザとか『ONE PIECE』の海軍や黒ひげとか。それに『鬼滅の刃』だったら鬼たちが相当に魅力的である。

しかし『境界の彼方』の敵キャラである妖夢は、全く魅力的ではない。実質的には、ただのモブキャラと言っても過言ではないだろう。だから『境界の彼方』の戦闘シーンは退屈なのだ。

例外を挙げるとすれば、あの風船型の妖夢はかなり魅力的だった。あれぐらい魅力的な妖夢を、あと2体ぐらい出してくれれば『境界の彼方』の人気は相当向上したことだろう。

妖夢が簡略的に描かれた理由

ではなぜ妖夢が簡略的に描かれたのか。これは、そもそもの妖夢の立ち位置に注目するのがいいだろう。

僕は『劇場版境界の彼方過去篇』という実質的に2周目の視聴で理解したのだけれど、妖夢は人間の弱みを描いたものなのだ。だから『境界の彼方』では、妖夢とどう向き合うかがテーマになっている。

ラストで秋人が境界の彼方を受け入れたということは、自分の弱さを受け入れたということになるだろう(これはわかりやすい例)。

つまり『境界の彼方』とは、基本的に自分との戦いなのだ。だから敵を魅力的に描く必要はない。それどころか、むしろ敵にキャラクター性を持たせてしまうと「自分との戦い」という感じでは無くなってしまう。

こう考えると、妖夢が簡略的に描かれたことに納得がいく。『境界の彼方』はファンタジーでありボーイミーツガールでありセカイ系の作品なのだ。

さいごに

やっぱり劇場総集編は気楽に復習できるのが良い。本来であれば1周目(TVアニメ)の段階で上記のことに気づくべきだったけれど、当時の僕は集中力を切らしていた。でも劇場総集編という名の2周目で、流石に理解することができた。

さて『境界の彼方』はこれで終わらない。「未来が記憶喪失になる」というラストを迎えた『境界の彼方』がどうなっていくのか。すぐさまに『劇場版境界の彼方未来篇』を視聴したいと思う。

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