【ラブひな感想(TVアニメ)】これぞまさにラブ”コメディ”

ラブひな
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『ラブひな』について語っていく。

『ラブひな』は赤松健による漫画が原作だ。TVアニメは2000年春クールから2クールにかけて放送された。アニメ制作はジーベックが担当した。

目次

『ラブひな』の評価

※ネタバレ注意!

作画78点
世界観・設定68点
ストーリー68点
演出68点
キャラ70点
音楽73点
※個人的な評価です

作画

とてもヌルヌル動いていた。多分、フルアニメーションを採用している。2000年制作ということで、全体的に古臭いけれど、慣れれば特に問題ない。

世界観・設定

「東大志望の浪人生によるラブコメ」という世界観。”東大志望”というのがなんともベタ。ただ、浪人を設定に組み込んだラブコメは、そう多くないかも。

それと『ラブひな』は、まさに”ラブコメディ”という感じで、本当にコメディ色が強い。最近のラブコメは繊細さが売りになっているけど、『ラブひな』ぐらいコメディにしても良いよね、って思う。

ストーリー

ストーリーはめちゃくちゃ。週刊連載で読者を飽きさせないように、とにかく刺激的かつ短期的なシナリオが無理矢理組み込まれた感じ。でも、一周回って、これが良いのだと思う。何と言っても”ラブコメディ”なのだから、これぐらいぶっ飛んだストーリーで良いのかもしれない。

演出

演出もかなりハード。なんだかんだで暴力的なシーンが多く、現在のコンプライアンスでは厳しそうな演出も多く見受けられる。「いやいや、これは死ぬだろw」というツッコミシーンもあるが、何度も述べるように、『ラブひな』はコメディなのである。これぐらい極端な方がちょうど良い時代だったのかもしれない。

キャラ

ストーリーの癖も強いけど、『ラブひな』はキャラの癖も強い。特にスゥの癖が強すぎる。インド系の女の子って需要あるの?

ということで、この癖の強さに慣れるかどうかで『ラブひな』にハマれるかが決まる。

なお、成瀬川なると前原しのぶは人気が出そう。個人的には後半ぐらいから素子が可愛く見えてきた。そしてやっぱり浦島はるかが1番良い!

音楽

OPの『サクラサク』も、かなり癖の強い電波ソングだ。好き嫌いが分かれそうだが、僕はかなりハマってしまった。

また、OPとEDで林原めぐみを起用するというゴリ押しセールスも素晴らしい。声優ソングの挿入歌も多数揃えていて「2000年頃から声優のゴリ押しってあったんだなぁ」としみじみ思う。

『ラブひな』の感想

※ネタバレ注意!

これぞ「ラブコメディ」

『ラブひな』は2000年前後あたりが全盛期の作品だ。そして僕は2000年生まれ。だから当時、『ラブひな』がどれだけ盛り上がっていたかはよくわからない。ただしネットで調べてみると、円盤売上が3万枚を超えていたり、覇権だったりしていたみたいなので、かなりの人気があったことがわかる。

では具体的にどのような特徴があるかと言われれば、とにかくコメディ要素が強い印象を受けた。メインヒロインの成瀬川なるが暴力的な女の子で、ツッコミが中々激しいのである。バイキンマンの如く、主人公の浦島景太郎が空の彼方まで吹き飛ばされていく。

ということで、『ラブひな』は全くもって現実的ではない。この辺が、現代ラブコメとは大きく異なる。おそらく当時は、これだけ非現実的であっても許されていた時代だった。

でもよくよく考えてみれば「ラブコメ」とは「ラブコメディ」なわけで、つまるところ「コメディ」なのである。だから『ラブひな』ぐらい大袈裟な演出でもジャンル的にはまったく問題ないわけで、思えば、ここ最近は『ラブひな』ほど激しいラブコメディ作品はあまり見受けられない。良くも悪くも大人びていて、繊細なのである。

そう考えると『五等分の花嫁』や『カノジョも彼女』の面白さが理解できる。マガジンのラブコメはストーリーが大雑把だけど、企画やキャラが強いし、何よりもコメディが刺激的だ。

繊細な心情描写が強みのラノベ系ラブコメと、大胆なコメディが強みのマガジン系ラブコメ。今後、どちらのラブコメの方がブレークするのか。またはどちらの要素も兼ね備えたハイブリッド系ラブコメでなければいけないのか。

そんなことを『ラブひな』を視聴することで感じ取った。

『ラブひな』がヒットした理由

正直に言えば『ラブひな』は、中身のない作品だった。エンタメとしては優れているけれど、人の人生を変えるほどのパワーはない。とはいえ、やっぱりエンタメとして面白く、しかもビジネス的にもちゃんと成功させている。では、一体なぜ『ラブひな』がヒットしたのだろうか。

まずは楽曲だ。OPとEDで超人気声優である林原めぐみを起用。声優ソングの挿入歌もバリエーション豊かだ。当時はCDの時代だから、これだけでかなりのセールスを叩き出せていると思う。

また、『ラブひな』の舞台となったひなた荘は、銀山温泉の小関館がモデルとなっている。言ってしまえば2000年時点で”聖地巡礼”を取り入れていたわけで、これも人気度向上に繋がっている。

そして何と言っても『ラブひな』はテンポ感が良い。これを悪く言い換えると「詰め込みすぎ」ということになるのだろうが、どちらにせよテンポ感が良いのは間違いなく、1カットあたりの時間が短いので飽きにくい。

当時のTVアニメは冗長的なものが多かったから、『ラブひな』のようにテンポ感が早いのは、視聴者にとってそれなりに刺激的だったと思う。それでいて企画もキャラも刺激的なので、ハマる人はとにかくハマる。

これは、現代のクリエイターが参考にすべきポイントだと思う。やはり映像コンテンツにおいてテンポ感は重要な要素だ。近年のショート動画系SNSに対抗するかのように、1カットあたりの時間を基本的に短くし、一方で魅せるところでは、あえて1カットあたりの時間を長くする。

『ラブひな』は、それを2000年からやっていたわけだから、売れて当然なのかもしれない。

さいごに

『ラブひな』の舞台となった銀山温泉には、先日赴いている。ということで近々、『ラブひな』の聖地巡礼の記事を出そうと思うので、そちらもぜひ読んでみて欲しい。

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