凪のあすから(凪あす)評価:感想→幻想的な世界観とドロ沼恋愛

凪のあすから

今回は『凪のあすから(以下、凪あす)』について語っていく。『凪あす』はアニメ制作会社P.A.WORKSによるアニメオリジナル作品で、2013年秋クールから2クールにかけて放送された。

目次

『凪あす』の感想

ネタバレしているので、未視聴の方は気をつけてください。

感想①:『凪あす』の幻想的な世界観

『凪あす』の最大の特徴は、幻想的な世界観だろう。『凪あす』では、海と陸に分れて人々が暮らしており、お互いに対立している設定となっている。また、海の人々が暮らす海村の世界観が秀逸だ。おそらく、ほぼゼロから海村の世界観を作り上げていると考えられる。

それ以外にも細かい部分での設定も作り込まれている。海の人々が海の中で呼吸できるシステム「エナ」はとても印象的だ。しかもこの「エナ」が物語のキーにもなる。

そもそもP.A.WORKSはリアリティのある作品に強みを持っているアニメ制作会社だった。その中でもファンタジー要素の強い『凪あす』は異質の作品だったと言わざるを得ない。

感想②:変わるべきか変わらないべきか

『凪あす』のテーマの1つに「変化」が挙げられる。青春時代は子どもから大人になる過程だ。その中で少年少女たちは「変わらなければいけないのではないか」という問いを自然と持つようになる。

『凪あす』のキャラで言うと、最初に変わろうとしたのが主人公の先島光(CV.花江夏樹)で、一番変わりたがらなかったのは比良平ちさき(CV.茅野愛衣)だった、と僕は考えている。それなのに半強制的に5年の歳月が経ってしまい、光は変わらず、ちさきは変わってしまった。その影響でちさきは「変わってしまった自分」に対して自責するようになる。そこで第15話『笑顔の守り人』の名シーン、光はちさきに対して「お前、全然変わらなくて、安心した」と言うのだ。このシーンは個人的に、めちゃくちゃ感動した。

そして結局、光は「変わってもいいし変わらなくてもいい」という結論を出した。少なくとも、無理して変わる必要はないという決断をしたのだ。個人的には賛否両論ある感じだが、ハッピーエンドにするにはこの結末しかないかな、と思う。

感想③:踏切の告白シーンが最高だった

『凪あす』には数多くの名シーンがある。その中でも僕はやはり第24話『デトリタス』の踏切のシーンを紹介したい。とことん報われなかった少年・伊佐木要(CV.逢坂良太)をずっと想い続けてきた久沼さゆ(CV.石原夏織)が告白するのだ。

要はちさきのことが好きだったけれども、ちさきは光のことが好きであり、そして5年の月日が経った後は木原紡(CV.石川界人)を好きになっていた。それに対し要は常にクールに振る舞っていたが、実は「僕を待っていてくれた人は誰もいないんじゃないか」と孤独感に苛まれていたのだ。
そこでさゆの登場である。さゆは5年間ずっと要のことを思い続けてきた。それを知った要は、作中でおそらく唯一の涙を流す。

この踏切は実際にあるそうなので、絶対に訪れようと思う。

『凪あす』の評価

作画87点
世界観・設定90点
ストーリー80点
演出85点
キャラ87点
音楽80点

作画

『凪あす』は美術(背景)がとにかく素晴らしかった。『凪あす』特有の幻想的な世界観を見事に表現している。

世界観・設定

PA作品の中では珍しく、ファンタジー要素が非常に強い設定。そしてとても良く作り込まれている。『凪あす』の世界観を引き継いで、別の作品を展開してほしいレベル。

ストーリー

思っていた以上にドロドロした恋愛劇を見せられる。ある意味、P.A.WORKSの原点回帰的な作品かも。

演出

ストーリーそのものはドロドロしてるけど、演出はとても爽やかなもので、青春を感じさせた。特に要とさゆの踏切の告白シーンはエモい。

キャラ

『凪あす』はPA作品の中でもキャラがダントツで良い。個人的には女性キャラ全部好みだった(あかりも含む)。

音楽

前半クールのOP『lull〜そして僕らは』とEDの『アクアテラリウム』がいい感じ。後半クールのOP『ebb and flow』は雰囲気が最高だった。

さいごに

僕は『凪あす』を視聴している最中にセンチメンタルになってしまった。理由はよく分からないけど、『凪あす』にめちゃくちゃ感情移入できたからだと僕は考えている。

やはり『凪あす』はPA作品の中でもかなり尊い。もしかしたらPA作品の中で一番好きな作品かも。

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