【おにまい(TVアニメ)感想】日本式アニヲタの闇を感じさせる作品

お兄ちゃんはおしまい!
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『お兄ちゃんはおしまい!(以下、おにまい)』について語っていく。

『おにまい』は、ねことうふによる漫画が原作で、2023年冬クールにTVアニメが放送された。アニメ制作は『無職転生』を手掛けているスタジオバインドが担当した。

目次

『おにまい』の評価

※ネタバレ注意!

作画87点
世界観・設定80点
ストーリー83点
演出82点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

ここ最近の日常系アニメの中だと、最も作画に力が入っていた作品だったかもしれない。『ぼっち・ざ・ろっく!』といい勝負だろう。

とにかくキャラがよく動く。京アニを彷彿とさせるほど、とにかくキャラが可愛らしくよく動く。それに”キャラデザを安定させる”というよりは”線を動かすこと”を重視していたようなので、動きにバリエーションがあった。だから、見ていて飽きることはない。

世界観・設定

性転換系の作品。よくよく考えると、性転換系の作品で、これほどまでに予算をかけた作品は中々なかった気がする。

それで性転換系作品らしく、女性特有の性症状が、童貞向けに紹介されているので、一種の性教育的なコンテンツになっている。……というのは綺麗事で、普通にエロい。

ストーリー

大筋のストーリーは何とも言えないけれど、少なくとも日常系アニメとしてのシナリオは良かった。メリハリもあるし、セリフ回しも良い。

あとはメッセージ性がもう少し興味深いものだともっと面白いと思うのだけれど、特に深みはなかった。

演出

やはりキャラの動きは良い。先ほども述べた通り、キャラデザの安定度よりも動きを意識しているので、見応えはある。

少し気になる点があるとすれば、所々でタイムラグみたいな妙な間が見受けられた。あの感じだと多分、普通にマネジメントミスだと思う。

キャラ

全体的に柔らかいタッチで描かれたキャラは、非常に幼女的で、かなり際どい。主人公のまひろは、一応中学生という設定だけれど、小学生に見えてしまう。

とはいえ、普通に萌えキャラとしては良くできていて、色々なキャラを展開できている。ちなみに僕は、みはりが1番好みかなぁ。次点でもみじ。

音楽

OPもEDも電波な感じが強くて良き。どちらも作画に気合が入っていたので、僕はあまりスキップしなかった。

なお、印象に残るほどではないけれど、劇伴のクオリティも高かったと思う。

『おにまい』の感想

※ネタバレ注意!

これぞ、日本式アニメのカオス

おそらく世界的な常識で見ると、『おにまい』の作風は完全にアウトで、大衆にウケることは絶対にない。性的興奮を煽りまくってるし、幼女っぽいキャラデザが危ない。まさに、ごく一部のアニメファンが見る作品だろう。

そしてそんなマニアックな作品に、ちゃんと資金を投下して、高品質のアニメを作ってしまうのだから面白い。ネット上のヲタクたちは「神作画!」とかで色々褒めているが、僕としては、この日本式アニメのカオスぶりの方が面白いのである。

実際、『おにまい』はかなりアウトな作品だ。男子大学生のニート主人公が女子中学生になる時点でヤバいし、そこから様々なエロシーンが展開される。一応、僕はそれなりにまともな人間だと思っているのだが、女子中学生がお風呂に入っているシーンで、見ているこっちが恥ずかしくなった。

僕は、『おにまい』のように逃避的な世界に引きずりこむだけの作品に対して、少し否定的になることが多い。だが、この日本式アニメ特有の闇というかカオスぶりが面白いのも事実で、1人のアニメファンとして、このカオスの動向を見守っていきたいという想いもある。多分『おにまい』は、日本式アニメのカオスの最前線にいると思うから、当分の間、ウォッチしていこうと思う。

線がよく動く作画

『おにまい』を制作しているスタジオバインドは、『無職転生』を制作していたこともあり、それなりに評価の高いアニメ制作会社だ。やはり作画が強いのだけれど、とにかく線がよく動く。これは『無職転生』の頃からそうだったけれど、『おにまい』はさらに線がよく動いていて、それを楽しむためだけに『おにまい』を視聴していた節もある。

特にEDでの作画が、それを象徴しているだろう。多分あれはフルアニメーションで制作されているだろう。とにかくキャラデザを崩しまくってでも、線を動かすことを優先している。

一般的に、日常系アニメでは”キャラデザを安定させる”という建前で、作画枚数を抑えることが多い。けれども『おにまい』は、そんな日常系アニメの常識を取っ払って、本当によく動く作画を徹底していた。だからおそらく、相当の制作費がかかっているけれど、その分、相当の数の企業による製作委員会を構築しているので、リスクを分散できているのだと思う。ただ、スタジオバインドの出資順位が低いのが気になるけれど……。

さいごに

あのストーリーの終わり方的に、『おにまい』は続編の制作が決定しそうだ。製作委員会で東宝が参加していたので、多分、いつか劇場版が公開されるのではないかと思う。

それにしても、『おにまい』はある意味、挑戦的な作品だったのではないだろうか。原作が特別有名というわけではないのだけれど、ちゃんと予算を投下して、高クオリティのアニメを仕上げている。しかも、かなり際どい内容の。

今後も『おにまい』を視聴していこうと思う。僕が大人になるまでは。

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