【アルセウス超克の時空へ感想】大地や自然景観は人間が育むもの

アルセウス超克の時空へ
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ(以下、アルセウス超克の時空へ)』について語っていく。

劇場版第12作目となる『アルセウス超克の時空へ』は、2009年に公開されたポケモン映画だ。アニメ制作はOLMが担当している。

目次

『アルセウス超克の時空へ』の評価

※ネタバレ注意!

作画82点
世界観・設定80点
ストーリー75点
演出70点
キャラ75点
音楽78点
※個人的な評価です

作画

前作や前々作に比べると、作画のクオリティは高かったと思う。三部作最後の作品ということもあって、それなりに気合が入っていたのかもしれない。

特に印象的だったのは、3DCGの使い方とキャラの動きだ。
3DCGは、手描きとの境界線がかなり曖昧になっている。それはつまり、自然な形で3DCGが導入されているということだ。
また、キャラの動きに関していうと、『アルセウス超克の時空へ』ではキャラの動きがいつも以上に良いように思えた。

世界観・設定

創造主であるアルセウスが登場するということで、これまで以上に壮大な世界観だった。そして久しぶりに人間の愚かさが強調された作品だったと思う。というかこれまでのポケモン映画の中で、これほど直接的に人間の愚かさを描いた作品はなかったはずだ。まあ人間である僕としては、本作の悪役であるギシンの考えもわからなくはないのだけれど。

ストーリー

相変わらず終盤が微妙だったけれど、『ダイヤモンド&パール』作品の中では今のところストーリーは一番良いと思う。序盤の入り方も面白かったし、タイムトラベルなどで場面がしょっちゅう変わるから飽きなかった。それとなんだかんだでロケット団が良い仕事をしている。

演出

終盤でアルセウスが復活するシーンの演出は良かった。映画館で見れたらもっと良かったと思う。2009年制作であることを考えると、まずまずという感じ。そして本作らへんからエフェクトやVFXで魅せる演出が急増した感じがある。

キャラ

『ハードゴールド・ソウルシルバー』の発売を控えているということで、ジョウト地方のポケモンが数多く登場したということらしい。たしかにジョウト地方のポケモンが多かった。

ゲストキャラに関しては、今回はちょっと微妙だったかも。あとアルセウスに美和明宏を起用したのはいいけれど、もう少し美和明宏の良さを引き出せたのではないかなぁと思う。何といっても『もののけ姫』のモロの君だからね!

音楽

音楽は中々良かった。神々しさを感じさせられる楽曲だ。ただ、やはりもう少し尖ってもいいと思うけれど。

主題歌は『ハイタッチ!』と『心のアンテナ』だ。『ハイタッチ!』は懐かしすぎてヤバい。『心のアンテナ』は普通に良い曲だと思う。作詞が松本隆で作曲が細野晴臣はヤバい。

『アルセウス超克の時空へ』の感想

※ネタバレ注意!

大地は人間が育てるもの

『アルセウス超克の時空へ』で僕が抱いた第一印象は、とにかく美術背景が綺麗だったことだ。まあ特段力が入っているわけではなかったけれど、それでも風景描写が普通に素敵だった。

それで『アルセウス超克の時空へ』は、古代人が生きていく上で「豊穣が必要だ」ということで、それにアルセウスが力(命の宝玉)を貸したというストーリーだった。だが人間たちが「命の宝玉を返したら豊穣が消えるのではないか?」ということでアルセウスに刃向かうことになる……。

それにしても世界中に点在する神話のほとんどが『アルセウス超克の時空へ』のストーリーと類似する。古代人はとにかく豊穣を求め、そのために祭式や神話を作り出したというのが最も濃厚な説だとされている。日本神話も、そういう物語だ。そして大抵の神話では「神に刃向かうと罰を受ける」というのが決まり文句なのである。

しかし最終的に『アルセウス超克の時空へ』では、人間たちが美しい豊穣を育てたという素敵な結末を迎える。アルセウス(神)の力を借りなくても、自分たちの手で豊穣を作り出すことができたのだ。

結局のところ、神に期待してもしょうがないのではないかと思う。そもそも大抵のことは時間をかけることでなんとかなる。例えば豊穣も、ゆっくりと大地を育てていけばいつかは豊かな大地になるし、それがダメなら他のもっとも豊かな場所を探せば良い。神に期待するというのは、人間自身がただ楽をしたいだけなのではないだろうか。

それと現代社会において、美しい風景は人間が生み出すものなのかもしれない。もちろんゼロから美しい自然景観を作り出すことは不可能だけれど「土地開発しない」ことで、美しい自然景観を維持することはできる。おそらく関東平野は、それなりに壮大な草原だったのではないだろうか。今となってはコンクリートジャングルでそれはそれで面白い景観をしているけれど、どちらにせよ、現代社会では人間が風景を作る側にまわっている。決して「神」ではない。

だから人間たちが責任を持って、この地球を育てていくべきなのではないかと思う。

さいごに

『アルセウス超克の時空へ』が公開された当時、おそらく僕が最もポケモンにハマり込んだ時期だった。僕はたしか『ハートゴールド』を買ってもらっていた。とにかくめちゃくちゃやりこんだ記憶がある。何といってもジョウト地方だけでなくカントー地方もプレイできるのが良いところだ。300時間ぐらいプレイした気がする。

ということで『アルセウス超克の時空へ』は僕の中でそれなりに想い入れの強い作品だ。今でも最強のポケモンはアルセウスだと思っている。まあ実際、最強だと思うけど。

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