【劇場版SPY×FAMILY感想】予想以上におもしろかった!

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『劇場版 SPY×FAMILY CODE: WHITE(以下、劇場版SPY×FAMILY)』について語っていく。

『SPY×FAMILY』は遠藤達哉による漫画が原作で、2022年春クールと2022年秋クールの分割2クールでTVアニメ1期が放送。2023年秋クールにTVアニメ2期が放送され、2023年12月22日に『劇場版SPY×FAMILY』が公開された。

アニメ制作はWIT STUDIOとCloverWorksが担当している。

目次

『劇場版SPY×FAMILY』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定85点
ストーリー83点
演出86点
キャラ85点
音楽83点
※個人的な評価です

作画

劇場版ということもあり、TVアニメに比べて作画はパワーアップしていると思う。劇場版を意識した画面構成になってはいるけれど、IMAXに耐えられるほどの画面構成ではなかった(僕はIMAXで視聴した)。まあ『劇場版SPY×FAMILY』はその性質上、IMAXに耐えられる画面構成を作りづらいのだけれど。

世界観・設定

北部地方の街を舞台にしているということで『劇場版SPY×FAMILY』が公開されたクリスマスシーズンにドンピシャな世界観となっている。実際、クリスマスが描かれていた。

また、TVアニメの『SPY×FAMILY』に比べてかなりシリアスな雰囲気が漂っていた。『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のように「TVアニメはコメディ、劇場版はシリアス」という棲み分けができるとおもしろいのかもしれない。

ストーリー

ストーリーは、やや冗長的に感じられてしまった。基本的にはダイナミックな戦闘シーンと3人の擬似家族によるヒューマンドラマの2軸で進んでいく。ただし個人的には、戦闘シーンが多めに感じられて、特に飛行機が街に衝突するとかのくだりは、そんなに必要じゃなかったのではないかと思うし、ちょっと無理があるストーリーだったのではないかと考えさせられた。

『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』の映画も、終盤はかなりスマートな展開を迎えていた印象がある。『劇場版SPY×FAMILY』もそれを踏襲していいのではないかと思う。

演出

個人的に印象に残っているのが、ヨルとロイドの戦闘シーン、トイレの神様のイメージシーン、アーニャが逃げ回るシーンだ。どの演出も手書きアニメだからこそできる演出で、これぐらいの演出をTVアニメで毎回見せてくれれば大満足である。

キャラ

IMAXで鑑賞したのだけれど、声優の声質がビンビンに伝わってきた。ロイドもヨルもアーニャも、いい声をしている。また『劇場版SPY×FAMILY』では『魔法科高校の劣等生』で有名な石田可奈がサブキャラクターデザインで参加しており、キャラデザの安定感が飛躍的に向上した印象がある。

音楽

主題歌は髭男の『SOULSOUP』と星野源の『光の跡』だ。ぶっちゃけ「主題歌は2曲必要だったのか?」とは思うけど、まあ視聴者としては2倍お得な感じではある。

『劇場版SPY×FAMILY』の感想

※ネタバレ注意!

劇場版でシリアスを追求するのはかなりアリ

個人的な感想で言えば『劇場版SPY×FAMILY』は予想より少し面白かった。今となっては国民的アニメ一歩手前ぐらいの位置にいる『SPY×FAMILY』なので、僕の中での期待値はかなり高くなる。だから、それを少し超えているということは、それなりに『劇場版SPY×FAMILY』が上手く作られていたということなのだと思う。

僕はてっきり『劇場版SPY×FAMILY』は子供騙しのアニメ映画になるのではないかと思っていた。TVアニメとクオリティはさほど変わらず、シリアス展開も少なめでコメディ重視だと思っていた。でも実際は、劇場版相当のクオリティに仕上がっていて、シリアスとコメディのバランスも良かった。たしかに終盤の展開はちょっと幼稚すぎたけれど、まあストーリーの展開的に、あんな感じになるのはしょうがない。

そう考えると『SPY×FAMILY』は『クレヨンしんちゃん』と同じようなメディア展開をすればいいのではないかと思う。TVアニメはコメディ全振りで劇場版はシリアス重視だ。これであれば『劇場版SPY×FAMILY』の”擬似家族”という現代的なテーマを最大限に活かした作品を作ることが可能になる。もちろんTVアニメの雰囲気を壊すことはできないので、やりすぎは禁物だけれど、十分に素晴らしい作品を作ることができるはずだ。

映像表現もかなり良い!

『劇場版SPY×FAMILY』は映像表現がかなり良かった。

やはり日本式アニメのポテンシャルは「線」に秘められている。「線を用いた表現」をどこまで追求できるかが手描きアニメの勝負どころだ。当然『劇場版SPY×FAMILY』もそれを理解していて、ところどころで、3DCGアニメでは不可能な表現がなされていた。

アーニャが逃げ回るシーンで「あれ、これめちゃくちゃTRIGGERっぽいな」と思っていて、案の定、動画でTRIGGERが参加していたのだけれど、あのシーンはやはりTRIGGERなのだろうか。

どちらにせよ、WIT STUDIOとCloverWorks(アニプレックス)の人脈を用いて、優れた制作会社のエッセンスを一部シーンに挿入するだけでも、面白い映像表現が可能になると思う。

さいごに

『SPY×FAMILY』はほぼ間違いなく続編アニメが公開されると思うけれど、個人的には劇場版の続編を所望したい。先ほども述べた通り、劇場版であれば『SPY×FAMILY』のポテンシャルを「アニメオリジナル」という形で最大限引き出すことが可能になる。個人的には、押井守映画と同じレベルで、雰囲気を変えてしまってもいいと思う。

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