【ウマ娘3期感想】キタサンブラックで「競争」と「応援」を描く

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『ウマ娘 プリティダービー Season3(以下、ウマ娘3期)』について語っていく。

『ウマ娘』はCygamesによるメディアミックスプロジェクトで、2018年春クールにTVアニメ1期、2021年冬クールにTVアニメ2期が放送された。そして2023年秋クールに『ウマ娘3期』が放送される。

アニメ制作はスタジオKAIが担当した。

目次

『ウマ娘3期』の評価

※ネタバレ注意!

作画88点
世界観・設定83点
ストーリー85点
演出84点
キャラ86点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

『ウマ娘2期』に比べて作画はかなりパワーアップしているように思える。3DCGを用いるシーンが幾分かマシにあったし、競争シーンの走りもかなり良かった。

そして何といっても最終回のライブシーンが凄まじい。3DCGと手描きアニメの合成の仕方が、これまでのそれとは違った。

世界観・設定

キタサンブラックが主人公ということで、2015年から2017年あたりの競馬がモデルとなっている。そして僕は『ウマ娘』未プレイだから初めて知ったのだけれど、『ウマ娘』の世界にはトゥインクル・シーリズとドリームトロフィーというのがあるらしく、史実を元にしているのがトゥインクル・シリーズで、引退後はドリームトロフィーで戦うことになるらしい。

ストーリー

これまで以上に「競争」を意識したストーリー。「勝ち」に執着することがどれだけ辛いことなのかが体感できる。『ウマ娘2期』のトウカイテイオーとはまた違った辛さがあった。

演出

ラストの盛り上がりに関しては『ウマ娘2期』より劣るかもしれない。でも、これはそもそものストーリーの問題があるだろう。

『ウマ娘2期』よりも表情に熱がこもっていて、走るシーンも動きがかなりダイナミックになった。ところどころでシュールなギャグを突っ込んでくるのも『ウマ娘』らしい。

キャラ

これまでのチームスピカは相変わらずで、そこにキタサンブラックが加わる。また、個人的に注目していたのはナイスネイチャだ。ナイスネイチャと言えばトウカイテイオーの頃のウマ娘だけれど、キタサンブラックが相談先として選んだのがナイスネイチャだった。こういった世代を超えた交流が見られるのも『ウマ娘』の特徴だと思う。

音楽

OPの『ソシテミンナノ』は、もう皆さんお分かりの通り、凄まじく「勝ち」を意識した楽曲になっている。

EDの『アコガレChallenge Dash!!』は、中々エモい感じに仕上がっていて、これまでのEDの中で僕が一番好きかもしれない。EDに登場するチームスピカの表情が素晴らしい。

『ウマ娘3期』の感想

※ネタバレ注意!

とにかく「競争心」が深掘り

これまでの『ウマ娘』では、スペシャルウィークとサイレンススズカ、トウカイテイオーとメジロマックイーンでライバル(親友)関係が描かれ、そしてキタサンブラックとサトノダイヤモンドがその系譜を引き継ぐことになった。だがしかし、今回の『ウマ娘3期』に関しては、とにかく「競争心」が強く意識されていたと思う。

一番印象的だったのは、有馬記念の直前、サトノダイヤモンドが極めて高い集中力で、キタサンブラックをシカト(言い方悪いけど)したシーンだ。ギスギスしていたわけではないけれど、あれだけプレッシャーをかけていくシーンは、これまで一切見受けられなかった。

僕も強豪校でのスポーツ経験があるからわかるけど、親しい選手と対戦するときに、何とも言えない不思議な雰囲気になる。特に、全国大会を決める試合とかで親しい選手と対戦するとき、すれ違っても会話するどころか目をあわせることもない。でも、別に仲が悪くなっているわけではなく、ただ単純に、お互いに目の前の試合に集中しているのだ。

『ウマ娘3期』では、キタサンブラックやサトノダイヤモンド、サトノクラウン、シュヴァルグランなどの同世代のウマ娘が描かれ、友だちとしてパーティを開催することもあれば、試合前で闘争心むき出しになるシーンがあった。この矛盾した雰囲気が競技スポーツの醍醐味であり、競技スポーツの不思議な関係性を描く上で『ウマ娘』はいい題材だと思う。

そして「応援」も描かれる

スペシャルウィークもトウカイテイオーも、感動的な応援が描かれたけれど、キタサンブラックでさらに「応援」が深掘りされた。これは、キタサンブラックのオーナーである北島三郎の影響が大きい。『ウマ娘3期』では、キタサンブラックを通して「応援を力に変えること」が描かれていたように思う。

スペシャルウィークもトウカイテイオーと同じように、キタサンブラックも、終盤になるにつれて苦しむようになる。トウカイテイオーは度重なる怪我に苦しんだが、キタサンブラックは自身の衰えに苦しんでいくことになる。これまでは、どんどん成長していくから、走るのが楽しかったわけだが、自分自身の衰えを感じるようになってから、走ることが徐々に楽しく無くなっていくのである。

だが、そんなキタサンを救ったのが、ファンからの応援だった。自分自身で区切りをつけて、最後の有馬記念で有終の美を飾ることになる。

『ウマ娘2期』に比べるとボルテージの盛り上がりに欠けるかもしれないが、『ウマ娘3期』はそれはそれで素晴らしいメッセージを残してくれたと思う。

さいごに

なんとなんと『ウマ娘3期』の最終回のタイミングで、『ウマ娘』初となる劇場版の公開が決定された。それも、ジャングルポケットが主人公の作品らしい。絶対視聴したいと思う。

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