【ゆるゆり3期感想】正真正銘の”ゆる〜い百合展開”が楽しめる

ゆるゆり3期

今回は『ゆるゆり さん☆ハイ!(以下、ゆるゆり3期)』について語っていく。

『ゆるゆり』はなもりによる漫画(コミック百合姫)が原作で、2011年夏クールにTVアニメ1期、2012年夏クールにTVアニメ2期が放送された。

2014年11月に公開されたOVAから、アニメ制作会社が動画工房からTYOアニメーションズに変更。2015年秋クールに放送された『ゆるゆり3期』も、TYOアニメーションズがアニメ制作を担当している。

目次

『ゆるゆり3期』の評価

※ネタバレ注意!

作画70点
世界観・設定77点
ストーリー80点
演出75点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

作画崩壊回がチラチラあったのが、何よりも残念だった。具体的には第3話と第11話だ。

しかも『ゆるゆり3期』における作画崩壊は、絵コンテや演出の工夫次第で、十分ごまかせたものだったと思うから、なおさらもったいない感じである。純粋に工数見積もりをミスったか。

とはいえ、作画崩壊以外のシーンは、全体的によかった。作画崩壊がなければ、普通に80点だった。

世界観・設定

原作のエピソードに準拠していることもあり、百合や日常だけでなく、それなりにユーモアなギャグパートも目立つようになった。たしかにネット上で言われている通り『ゆるゆり3期』はもっとも原作っぽいかもしれない。

ストーリー

制作会社がTYOアニメーションズになってから初めてのTVアニメだけれど、「TVアニメ=20分」という尺が明確に決まっており、かつAパートとBパートに半強制的に分かれることから、必然的にエピソードの単位が小さくなり、その分、テンポがよくなった。ということで、前作『なちゅやちゅみ!』シリーズより、個人的にストーリーは好みだった。

演出

「演出で作画崩壊は上手くごまかせたよなぁ」と思った。でも、それ以外の演出は、期待以上に良かったのが本音だ。動画工房版ほどではないけれど、会話のテンポ感も緩急があったので、作品の世界観に入り込むことができた。

キャラ

キャラは相変わらず百合重視。心なしかOVAよりも、あかりがイジられてる気がする。笑

メインキャラ4人の声優の演技もかなり安定していることもあり「『ゆるゆり3期』のキャラが一番好き」という意見も多い。

音楽

OP『ちょちょちょ!ゆるゆり☆かぷりっちょ!!!』は、これまでの主題歌に比べてもかなりハイテンポ。ぶっちゃけて言うと、声優の歌唱力がついていけてない気もするけれど、まあこれはこれで可愛らしいのかな。

ED『あっちゅ〜ま青春!』も中々に歌唱難易度の高い楽曲になっていて、やはりちょっとついていけてない感じがある。でもまあ、これはこれで可愛らしい気もする。

劇伴は、相変わらずかなり落ち着いた楽曲になっている。

『ゆるゆり3期』の感想

※ネタバレ注意!

ストーリーのテンポ感がかなり良くなった

アニメ制作会社が動画工房からTYOアニメーションズに変更されて、一番最初の作品になった『ゆるゆり なちゅやちゅみ!』は、本当にテンポ感が酷くて、作品の中に全く没入できなかった印象があった。

だが、その懸念点も『ゆるゆり なちゅやちゅみ!+』でかなり消え去り『ゆるゆり3期』になってからは、ストーリーのテンポ感がかなり良くなったように感じられる。

その要因として挙げられるのが、尺だ。当たり前だが『ゆるゆり3期』はTVアニメなので、基本的にアニメ本編は1話あたり20分でまとめなければならない。また、途中にCMが挿入されることから、20分という尺はAパートとBパートに分割されることになる。だから最小のエピソード単位は10分だ。それで、キリが良いようにシナリオを構築しようとすると、必然的に「やや駆け足気味」のテンポになり、これがセリフのテンポ感向上に繋がったのだ。

おかげさまで、声優の演技のテンポ感がよりリアルになり、ギャグのキレも増した。

なんだかんだで『ゆるゆり3期』は良い仕事をした

僕は断然、動画工房版の『ゆるゆり1期』と『ゆるゆり2期』の方が好きだけど、なんだかんだで『ゆるゆり3期』もおもしろかったんじゃないかなぁと思う。

もちろん、全体的に落ち着き過ぎたり、映像表現が単調だったり、何よりも作画崩壊したりしたのはちょっとアレだけれど、それでも『ゆるゆり3期』では、ゆるゆりファンに対して十分すぎるほどの価値を提供することに成功したと思う。

やはり”平和な日常”というのは、一定の需要がある。ただボーッと見ているだけでいいアニメは心が和む。

同時期に『ごちうさ』が日常系アニメの覇権を取ってしまったので、相対的に『ゆるゆり3期』の注目度は落ちてしまった。でも原作ファンからすれば、ゆるーい『ゆるゆり』をアニメーションで楽しめたわけだし、動画工房は製作委員会に参加できなかった『ゆるゆり』から足を洗って『月刊少女野崎くん』『プラメモ』『干物妹!うまるちゃん』という名作たちを制作できたのだから、それもそれで良かった。

たしかに動画工房版に比べるとTYOアニメーションズは味気ないが、限られたリソースの中で、十分すぎるほどの仕事を果たしたように思う。おかげさまで僕たちは『ゆるゆり3期』を通して微笑ましい百合展開を楽しむことができた。

僕自身『ゆるゆり』にかなりハマってきたので、時間があるときに原作コミックスも購入しようかなぁと思っているし、富山まで聖地巡礼しようと思っているし、グッズも買おうかなぁと思っているぐらいだ。

『ゆるゆり3期』はなんだかんだで結果オーライに終わったのではないだろうか。

さいごに

原作10周年記念ということで、2018年にOVA『ゆるゆり、』が発売。またまた制作会社が変更で、今回はLay-duceが担当するとのこと。はたしてどのような仕上がりになっているのか、一周回って楽しみである。

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