『奪還のロゼ 最終幕』感想:悲劇の結末は釈然としないもの

奪還のロゼ最終幕
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『コードギアス 奪還のロゼ 最終幕』について語っていく。

『コードギアス』は2006年からスタートしたサンライズのメディアミックスプロジェクトで、2019年に『コードギアス 復活のルルーシュ』が上映され、そこで一区切りがつく。

そして2024年5月に『復活のルルーシュ』から約5年後が舞台となる『奪還のロゼ第1幕』が劇場公開。2024年6月には『奪還のロゼ第2幕』、2024年7月に『奪還のロゼ第3幕』が公開。そして2024年8月に『奪還のロゼ最終幕』が公開される。。アニメ制作はサンライズが担当した。

目次

『奪還のロゼ 最終幕』の評価

※ネタバレ注意!

作画87点
世界観・設定・企画80点
ストーリー78点
演出82点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

流石にクライマックスということで、いつも以上に作画で気合いが入っていた。特にラスボス戦では、相手が大量のレーザーを発射するのだけど、それをアッシュがかわしていくシーンが圧巻だった。レーザーが追いかけてくるわけではないので板野サーカスではないのだけど、十分に見応えがあった。

世界観・設定・企画

風呂敷を広げたのはいいものの、それを綺麗に片付けられなかった感じ。

それと、ディズニープラスの指示なのかわからないが、グロがほとんど描かれない。本作ではとんでもない兵器が世界中に出没するのだけど、あれは絶対グロく描いた方が、もっと恐怖が伝わってくると思う。もし、ディズニープラスによる指示があるのだとしたら、ディズニープラスと日本アニメはあまり相性が良くないかもな。

ストーリー

流石に尺不足は否めない。それに、どうしても「レクイエム・ゼロ」と比べてしまう。アッシュが死ぬ流れは、展開としては悪くないが、尺不足のためにあっけなく描かれたので、僕は感動できなかった。

ノーランドの正体がシャルルのクローンであることが判明した際も、サクヤのセリフが説明的すぎて、なんだかなぁという感じ。

演出

先ほども述べた通り、もっとグロく描けたのではないだろうか。本作は「エロ」は十分どころか100点満点レベルで描けているので、あとは「グロ」さえあれば、刺激的なコンテンツの出来上がりである。

キャラ

やはりキャラの深掘りが足りない気がする。七煌星団はカミカゼ特攻隊のごとく特攻するだけで、他に見せ場があるかと言われると微妙だ。

音楽

今回はグランドシネマサンシャイン池袋の次世代映画フォーマット「BESTIA」で視聴したこともあって、これまでとは違った音楽体験ができた。戦闘シーンのSEが妙にリアルで、ガッツリ没入できた。……が、パリオリンピックによる睡眠不足(睡眠時間1.5時間!)のせいで、何回も繰り返される主題歌でうたた寝してしまった。

『奪還のロゼ 最終幕』の感想

※ネタバレ注意!

正直、ちょっと冷めました

ということで『奪還のロゼ』は、個人的にあまり好きになれない作品だった。

1番の問題はストーリーで、これは尺不足が大変大きい。全体を振り返ってみれば、導入部分のワクワク感は最高だったが、それが少しずつ薄まっていき、最終的に「……」って感じになる。

これがもし2クールだったら、もっとキャラを深掘りできて、少なくとも良作になっていたのは間違いない。

そして今回は1クールなのだから、それに合わせてストーリーや世界観をダウンサイジングした方がよかったのではないかと思う。

特にアッシュの扱い方は、なんだかなぁという感じだ。過去の深掘りもやや甘いし、立ち直りが早すぎるし、なんか死んじゃったし。全体的に呆気ない。

基本スタンスは、やっぱり「悲劇」

『コードギアス』の基本スタンスは「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」だ。それはある意味で、ギアスという「力」を振りかざす者の宿命だと言える。

ルルーシュは多くの人々を殺し、最期は自らの命を持ってケジメをつけた。同じくサクヤも、誰にもギアスをかけないようにするため、自らの声を封じた。

これはシェイクスピアの「悲劇」と同じ考え方である。良かれと思ってやったことでも、力の使い方を間違えた者には、最後に悲劇が待ち受けている。

ルルーシュに比べて、サクヤは圧倒的に「いい人」だが、ギアスという力に溺れた結果、多くの命を奪い、挙げ句の果てにアッシュの人生を滅茶苦茶にしてしまった。だからルルーシュのようにはならなくても、サクヤにも然るべき罰が与えられた、ということなのだろう。

そう考えると『奪還のロゼ』のストーリー構成が釈然としないのも当然かもしれない。『ゼロ・レクイエム』が完璧だっただけで、悲劇は基本的に釈然としないものである。

さいごに

これで『奪還のロゼ』も完結した、ということでいいだろう。

流石に『反逆のルルーシュ』ほどのおもしろさではなかったが、十分にファンをワクワクさせたし、何よりもキャラクターがよかった。ビジネス的には黒字になるだろう。

個人的にはサクヤが大好き。

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