今回は『映画 バブル』について語っていく。
『バブル』は、『進撃の巨人』で監督を務めていた荒木哲郎が監督を務めるアニメオリジナル映画だ。ワーナーブラザーズが配給を担当し、アニメ制作はWIT STUDIOが担当。豪華クリエイターがメインキャストを務めていることで話題になった。
そして『バブル』は、2022年4月28日、Netflixにより全世界に一斉配信。その後、2022年5月13日に劇場公開された。
『バブル』の感想
ネタバレしていないので、未視聴の方でも読めます!
感想①:映画で見なければ損の圧倒的クオリティ
『バブル』の映像美が凄い。下手すると『君の名は。』を始めとする新海誠作品と同レベル以上かもしれない。3DCGを活用した背景はもちろんのこと、パラクールの動きもダイナミックで素晴らしい。これを映画館の大画面で視聴しないのは損だろう。できることならIMAXで見たいほどだった。
『君の名は。』になんとなく雰囲気が似ているのは、企画・プロデュースを川村元気が担当しているのが影響してるかもしれない。
そしてアニメ制作会社はWIT STUDIO、監督は荒木哲郎ということで、『進撃の巨人』以来のコンビ。これに『まどマギ』や『PSYCHO-PASS』を手掛けた虚淵玄が脚本を担当し、『デスノート』や『ヒカルの碁』の小畑健がキャラデザの原案を担当している。
別に豪華クリエイターが集結したからといって、作品が豪華になるわけではない。ただ少なくとも、大体の場合、映像美や音楽のセンスがいいことはほぼ間違いなく、映画館で見たくなるクオリティに仕上がるのは間違いない。
『バブル』はNetflixではなく映画館で見よう。
感想②:輪廻転生を交えて、生命の尊さを描く
『バブル』は「泡」がテーマになっている作品だ。泡を原子に見立て、バブルで渦を表現することで、輪廻転生を描き、生命の尊さも描かれた。
僕は『バブル』を視聴している最中、「死が怖い」と感じてしまった。そう感じるようなストーリー構成だったのだ。だが、物語終盤に差し掛かり、果てしない輪廻転生が説明され、そこで僕はようやく死を恐れなくなった。そういう体験を、僕は『バブル』から得た。
『バブル』は、「”泡”というテーマから輪廻転生を描いたこと」が秀逸だと思うし、センスがいいと思う。
あと数十億年もすれば、我々の銀河系はアンドロメダ銀河と融合し、私たちは原子レベルに分解されてしまう(その前に僕は死んでると思うけど)。それでもいつか、原子と原子が繋がりあい、生命が誕生し、再び再開できるのではないか。『バブル』はこれを泡で表現したのだ。
『バブル』は王道のボーイミーツガールストーリーだったといえる。だが、設定を工夫しまくることで、現代的な作品に仕上がった。王道ながら奇をてらうスタイルだといえる。
『バブル』の評価
作画 | 95点 |
世界観・設定 | 80点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 83点 |
キャラ | 77点 |
音楽 | 78点 |
作画
作画がとにかく凄い。美術や3DCGで圧倒されるし、パラクールの動きもダイナミックに描かれている。『進撃の巨人』の立体機動装置みたいな感じ。
世界観・設定
「泡によって沈没した東京」という舞台が秀逸だった。泡を原子に見立てているのも興味深い。そして最終的には、泡から渦に繋げて、輪廻転生を表現したのも面白かった。
ストーリー
2時間の中でよくまとまっていたと思う。ただし、やはり尺が短かったのは否めず、キャラの深掘りの時間が足りなかった気がする。
演出
『バブル』は映像美だけでなく、音楽をフル活用した演出を展開してきた。”あの音”を様々な形にアレンジし、シーンに合わせて挿入するスタイルだ。僕はここ最近、アニメ映画を見まくっていたので、その度に『バブル』の予告動画を視聴し、その度に”あの音”を聞いてきた。そう考えると、感慨深いものがある。
キャラ
ちょっと癖のあるキャラデザだったけど、次第に慣れる程度のもの。典型的なボーイミーツガールなので、主人公とヒロインだけが深掘りされた。でももう少し、サブキャラのインパクトを強めてもいいと思う。ちょっと弱すぎな気がする。
音楽
主題歌は、現代的というか、若者感の強い感じ。ボーイミーツガールの『バブル』にマッチしていると思う。
さいごに
『映画 バブル』は中々挑戦的な作品だった。WIT STUDIOの技術力を知らしめるアニメ映画だったと思う。
ただし、ビジネス的に黒字になっているのかどうかは微妙なところだ。Netflixからどれだけの資金を引き出せているかによると思う。
でも、クオリティの高い作品ではあるので、中期的なスパンで多くの人に見られるアニメだと思う。