【ぶっちぎり?!感想】中華街×ヤンキー×アラビアン

ぶっちぎり?!

今回は『ぶっちぎり?!』について語っていく。

『ぶっちぎり?!』はMAPPA制作によるアニメオリジナル作品で、2024年冬クールに放送された。

アニメ制作はMAPPAが担当している。

目次

『ぶっちぎり?!』の評価

※ネタバレ注意!

作画80点
世界観・設定・企画75点
ストーリー75点
演出75点
キャラ75点
音楽75点
※個人的な評価です

作画

高品質のアニメを量産するMAPPA制作ということで、全体的に作画のクオリティが高い。また、京都アニメーション作品の監督経験のある内海紘子が監督ということで、所々で京アニっぽい描写が見受けられた。戦闘シーンは迫力があるし、日常シーンも温かみがあった。

世界観・設定・企画

横浜中華街あたりを舞台にしたヤンキー物語。それでいてアラビアンナイトを彷彿させるロマンティックな要素もある。バトル要素とBL要素のバランスがちょうど良い。エンタメ性に関しては『Free!』『ツルネ』に匹敵する企画だと思う。

ストーリー

終盤の無理矢理感は否めない。序盤の立ち上がりや中盤の盛り上げ方、そして企画が良かっただけに、終盤で失速したのが残念だ。とは言え、シナリオのクオリティは終始高かったと思う。この辺は「さすがMAPPA!」という感じだ。

演出

全体的に女性的な演出が多かった。これはおそらく監督の技量によるもので、MAPPAというより京アニらしい雰囲気がある。それでいて戦闘シーンは、MAPPAの強さが発揮されているのがよかった。MAPPAと京アニのいいとこ取りの印象を受けた。

キャラ

なんだかんだでキャラクターの数はそこまで多くない。相関図がとてもシンプルなので、全体図が飲み込みやすかった。女性ウケもかなり良さそうである。荒仁と真宝は王道って感じで、摩利人はかなりアニメ的。でも人気出そう。

音楽

OPの『Sesame』は、開始直後にアラビアンな雰囲気のある音を取り入れることで、一気に中東の雰囲気を再現。EDの『らぶじゅてーむ』は、メインヒロイン・神まほろを忠実に再現したかのような可愛らしい楽曲に仕上がっている。

あらためて振り返ってみると、音楽は全体的におもしろかった。

『ぶっちぎり?!』の感想

※ネタバレ注意!

これまた意欲的なTVアニメ

僕が思うに、MAPPAには3つの区分があると思う。1つ目は『呪術廻戦』や『チェンソーマン』に代表されるブロックバスター系のアニメ。2つ目は、他者から依頼をベースとした他社企画アニメ。そして3つ目が『ぶっちぎり?!』のような自社企画アニメだ。僕は個人的に3つ目の自社企画アニメが好きで、なんだかんだで玄人向きのアニメが揃っているように思う。

MAPPAの自社企画アニメで面白いのは、完全に玄人向けというわけではなく、ある程度のエンタメ性が備わっていることだ。このバランス感覚を追求しているアニメスタジオは、そう多くない。しかもエンタメ性を追求するからと言って、大衆を狙っているわけではなく、あくまでもニッチ狙いなのも興味深い。おそらくMAPPAは、ニッチ系アニメを量産することで、幅広いターゲットを取り込んだポートフォリオを形成したいんだと思う。

実際、それはうまくいきつつあると思うが、唯一の懸念点は、アニメーターの労働環境である。今回の『ぶっちぎり?!』も、途中で放送が一時休止した。結局のところ、マッパの大量生産体制は、アニメーターの安働きによって可能になっている点は否めない。この問題が解消されない限り、MAPPAが、京アニのような強固なブランドを確立するのは難しいだろう。

アイデアの組み合わせが強力な企画を作る

『ぶっちぎり?!』は全体的にメッセージ性が乏しく、中盤までストーリーは面白かったけど、ラストの締め括り方があまり好きになれなかった。一方で、企画が素晴らしかったのは間違いない。ジャンルはヤンキー系、横浜中華街を舞台に据えて、色使いは全体的にビビット。キャラ設定やストーリーにはアラビアンな要素が含まれている。これだけで日本(ヤンキー)、中国(中華街)、中東(アラビアンナイト)という3つの国の要素がミックスされている。

このように、複数のアイデアを組み合わせるだけで、ある程度おもしろい企画が誕生するのだ。

あとは、メッセージ性が乗っかっていれば、もっと面白いストーリーになっていたのは間違いないけど、それはまあしょうがない。多分、本気人の設定をもっと突き詰めれば、それ相応のメッセージ性が出たんじゃないかなぁと思う。僕が得た教訓は「動機が不純でも大丈夫!」ぐらいのもので、それも結局、全体として荒仁と真宝のストーリーにフォーカスされてしまったがために、荒仁の動機(童貞捨てたい)の根源と言ってもいいまほろちゃんとの関係性が深掘りされることはなかった。

でもやっぱりエンタメ作品としてはかなりおもしろく、MAPPAは着実にエンタメ作品の経験値を積んできているように思う。

さいごに

MAPPAの自社企画アニメは、なんだかんだで見て損はない作品が多い。今後も定期的にMAPPA制作のアニメオリジナル作品は視聴していこうと思う。

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