【中二病1期感想】何かに病むんだったら自分に酔いしれろ

中二病でも恋がしたい!

今回は『中二病でも恋がしたい!』のTVアニメ1期(以下、中二病1期)について語っていく。

『中二病でも恋がしたい!』は京都アニメーションが発行するKAエスマ文庫で刊行された小説が原作だ。そして2012年秋クールに『中二病1期』が放送された。アニメ制作は京都アニメーションが担当している。

なお、『中二病1期』はKAエスマ文庫で初めてのTVアニメ化作品である。

目次

『中二病1期』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定85点
ストーリー85点
演出85点
キャラ85点
音楽90点
※個人的な評価です

作画

作画は流石に京アニクオリティ。普段は暴力的なシーンを取り扱わない京アニだけれど、中二病による空想のバトルシーンという形で戦闘シーンが描かれた。やはり戦闘シーンのレベルも高い。そしてもちろん、京アニが得意な部分であるキャラの細かい動きもしっかり描かれていた。六花のアホ毛や凸守のツインテールの使い方も面白い。

世界観・設定

「中二病×ラブコメ」というありそうでなかった設定。たしかに中二病キャラが登場する作品は数多くあるけれど、中二病をテーマにした作品ってほとんどない。そして一見するとただのネタのように思える「中二病」だけれども、かなり深掘りされていて、その洞察が非常に興味深かった。

ストーリー

大まかなストーリーとしては、ちょっと雑に終わった感じもある。ただしシナリオのクオリティが非常に高く、アニメファン(特に萌えが好きな人)との親和性が高いものだったので、結果的に普通に面白かったし、楽しく視聴できた。

演出

『中二病1期』が放送される以前の京アニ作品と比べてしまうと、クライマックスにおける演出のエモーショナル具合がなんとも言えない。ただしキャラを可愛らしく見せる演出は相変わらずだし、やっぱりあの柔らかな表情は京アニにしかできない……。

キャラ

ヒロインがとにかく可愛い。ただし『中二病1期』で深掘りされたのは六花だけだったので、丹生谷、くみん先輩、凸守などが深掘りされるのは『中二病2期』からになるのだろうか。

それと先ほども述べた通り、髪型が印象的。アホ毛キャラというのはこれまでも数多くいたけれど、立花ほどアホ毛を使った動き(勇太がアホ毛を掴むツッコミとか)は中々ない。それと凸守のツインテールビンタも革命だと思う。これは『冴えカノ』の英梨々に引き継がれる……。

そしてやはり主人公の富樫勇太に福山潤を起用したのは大正解。時々『コードギアス』のルルーシュっぽくなる。これは流石にオーディションじゃなくて直接指名だよね?

音楽

OPの『Sparkling Daydream』の中毒性が異常。視聴前から好きだった曲だけど、ガチで1回もスキップしてない。そしてやっぱり映像の中毒性も異常。

EDの『INSIDE IDENTITY』も良曲。あまりにも雰囲気が『けいおん!』のEDっぽいのと、冒頭の六花の動き方(特に脚)で、山田尚子が担当していることに即座に気づけた。

なお、個人的には、BGMがちょっとギャルゲーっぽい感じがした。この辺はKey作品のエッセンスが残っているのかも。

『中二病1期』の感想

中二病設定のラブコメは難しい

『中二病1期』のストーリーが素晴らしいどうかを問われると、素直に「YES」とは言えない。中二病をテーマにする斬新性は良いけれど、それをラブコメとして完全に落とし込むのは、やはり難しかったのだと思う。

それと、かなり冗長的な印象を受けた。特に六花のシリアスパートという1つの問題に対して、約6話分のリソースを使うのはちょっと長いと思う。どうやら原作小説1巻だけをアニメ化したようで、それに大幅の修正を加えたのだと思うけれど、やっぱり長く感じてしまった。

ただそれでも普通に面白いのは、キャラの動きを丁寧に描いているからだし、ギャグのテンポが心地良いからだと思う。この辺は流石京アニ。安定感が半端ない。

中二病に対する捉え方は斬新

ラブコメとしては個人的に微妙だと思ったけれど、中二病に対する深掘りは間違いなく斬新だった。

『中二病1期』の終盤で、主人公の富樫勇太は六花に対して「中二病をやめて現実を見るように」とアドバイスする。だが、なんかどうも釈然としない。そこで丹生谷が、こんなことをぼやく。

ただ結局、人はいつも何かに病んでるのかな、って。

『中二病でも恋がしたい!』より引用(丹生谷森夏)

たしかにその通りだ。見方を変えれば、誰もが何かしらに病んでいる。「普通に生きよう」というのも、ある意味、自分で勝手に作り出した”普通”に病んでいるではないか。

そしてそこで、ダークフレイムマスターからの手紙である。

この手紙をお前が読む頃、お前はすでにダークフレイムマスターではないのかもしれない。(中略)お前は全てを奪還し、あきらめ、ただ目の前に見えるものを享受するだけの愚かな一般人に成り下がってるのかもしれぬ。そんな気配を今、俺は感じている。

だからこの手紙を書いた。ダークフレイムマスターよ。騙されるな、お前には力がある。お前は闇の王、邪王によって選ばれし存在。誰でもない、お前は特別なのだ!

『中二病でも恋がしたい!』より引用(富樫勇太)

どうせ何かに病むのであれば、自分が思い描いているものに心酔した方がいいのではないだろうか。それで中二病になるのは流石に拗らせすぎだけれど、でも目の前に見えるものを享受するだけの日々を送るのであれば、中二病の方がよっぽどマシなのかもしれない。

自分のことを特別な人間だと考えて何が悪い。自分というのは自分しかいないのだから、特別に決まっている。

だから周りのことなんて気にせず、自分の思い描いた通りにやれば良い。それは周りから見れば痛いのかもしれないけれど、本人が良ければ、それで良いのだ。

さいごに

『中二病』はTVアニメ2期が2014年冬クールに放送されている。また、TVアニメ1期の劇場総集編が2013年9月に上映されたようだ。

ということで、『中二病』を視聴するのをひとまず保留して、視聴したくなったら劇場総集編で復習してTVアニメ2期に臨もうと思う。

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