【ユーフォアンコン感想】吹奏楽部特有の問題に原点回帰!

ユーフォアンコン
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜(以下、ユーフォアンコン)』について語っていく。

『響け!ユーフォニアム』は、武田綾乃による小説(宝島社文庫)が原作だ。2015年春クールにTVアニメ1期、2016年秋クールにTVアニメ2期が放送され、2018年に『リズと青い鳥』、2019年に『劇場版ユーフォ』が公開された。

そして2023年8月に『ユーフォアンコン』が公開された。アニメ制作は京都アニメーションが担当している。

目次

『ユーフォアンコン』の評価

※ネタバレ注意!

作画88点
世界観・設定85点
ストーリー80点
演出80点
キャラ85点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティは高かったけれど、高カロリーの演奏シーンの大半がカットされていたのが残念。まあ個人的に「あの演奏シーンを絶対に見たい!」というわけではなかったから、良いのだけれど。

世界観・設定

今回の『ユーフォアンコン』のおかげで、アンサンブルコンテストという大会の存在を知ることができた。また「大人数の吹奏楽部の中で自由にチームを決めさせる」という明らかに厄介な問題を提示するのも『ユーフォ』らしい。久美子はよく頑張ったなぁと思う。

ストーリー

部長になったばかりの久美子を描く題材としては最適なストーリーだった。また、これまでの『ユーフォ』は1on1の人間関係を描くことが多かったので、大人数の吹奏楽部ならではの問題に原点回帰した印象を受けた。

演出

これまでの『ユーフォ』とは明らかに異なるのが演出。『ユーフォアンコン』から、山田尚子がシリーズ演出から外れていることもあり、やっぱり演出はやや物足りない。もちろん全体的のクオリティに大きな支障は出ていないが、やはり山田尚子の存在は大きかったのだと思う。

キャラ

ひとまず『ユーフォ』の主要人物を見れただけでも嬉しい。特に3年生が思っていた以上に活躍したのが個人的に嬉しかった。みぞれ先輩の窓のエピソードは『リズと青い鳥』を想起させるし、なかよしかわのコンビも相変わらず面白い。野次馬がたくさんいることから、なかよしかわの仲良しさは学年全体で広まっているのだろう。

音楽

主題歌の『アンサンブル』は想像以上にしっとりとしたナンバー。最終章となる3年生編の始まりを告げる曲って考えると、しっくりくるかも。

ちなみに、相変わらず吹奏楽の曲は最高に良い。映画館で鑑賞できてよかった。

『ユーフォアンコン』の感想

※ネタバレ注意!

吹奏楽部特有の問題

これまでの『ユーフォ』は、なんだかんだで1on1のやり取りがフォーカスされていた。たしかにTVアニメ1期では、序盤で「吹奏楽部特有のモチベーション管理の難しさ」が描かれていたと思うし、ソロパートのオーディションも印象的だ。ただそれ以上に、TVアニメ2期で描かれた久美子&あすか先輩や、『リズと青い鳥』のみぞれ&希美の関係性の方が、圧倒的に印象的だった。というか、これらの関係性の描き方こそが『ユーフォ』の最大の魅力だと言っても過言ではない。

さてさて。そんな『ユーフォ』は、やはり吹奏楽部のアニメなのであって、久美子が部長になった以上、吹奏楽部特有の問題に切り込まないわけにはいかない。それでいくと、アンサンブルコンテストは非常に良い題材だったと思う。これぞ原点回帰というやつだ。

僕も中・高・大の3年間で卓球部に所属していたからよくわかる。卓球にはダブルスがあるのだが、そのペアリングを決めるのが中々に難しい。

久美子3年生編である『ユーフォ3期』でも、吹奏楽部特有の問題が描かれるのだろうか。楽しみである。

はたして前作を超えられるのか……?

『ユーフォアンコン』は、めちゃくちゃに面白かった。流石『ユーフォ』だし、流石京アニである。本当に面白かった。きっと久美子3年生編も面白くなるだろう。間違いない。

一方で、懸念点もある。「前作を超えられるのか?」という問題だ。

現段階までの『ユーフォ』のピークは、間違いなく久美子&あすか先輩のエピソードだと思う。このエピソードは、本当に凄い。アニメのクオリティも非常に高いのだが、それ以上に「ここまで踏み込むのか!?」と感じさせられる切り口が凄かった。

また、『リズと青い鳥』のみぞれ&希美も素晴らしい。アニメのクオリティは限界突破していたし、希美に対する切り口がとんでもないことになっている。

では、久美子3年生編では、この2つのエピソードを超えられるのだろうか。もちろん、別に超える必要はないし、そもそも比較する必要はないのかもしれない。だが個人的に、ピークをラストに持っていけている作品にはセンスを感じる。『けいおん!』がそうだったように。

今回の『ユーフォアンコン』を見ても、この不安は拭えなかった。というか、山田尚子がシリーズ演出から降りたこともあり、これまでよりもちょっとだけ、演出が弱く感じてしまった。

それに今後のストーリー展開がどのようになっていくのかも気になる。というか、久美子が一体どのような部長になっていくのだろうか。

さいごに

ひとまず『ユーフォアンコン』が無事に2023年夏に公開された。あとは2024年春に放送予定の『ユーフォ3期』を待つだけである。……思っていた以上に長い。

それにしても、クレジットに「京都アニメーション」と入っているだけで少し感動してしまうのは僕だけだろうか。もう今となっては、京アニは完全復活目前に位置しているだろう。そして『ユーフォ』が完結したとき、念願の京アニの新作が登場することだろう。楽しみにしたい。

この記事をシェア
目次