「とにかく……上手くなりたい!」という気持ち

ユーフォ1期総集編
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜(以下、ユーフォ1期総集編)』について語っていく。

『ユーフォ1期総集編』は2015年春クールに放送されたTVアニメ1期の劇場版総集編である。アニメ制作は京都アニメーションが担当した。

目次

『ユーフォ1期総集編』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定80点
ストーリー80点
演出80点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

作画は少しだけ修正されている。特に印象的なのは楽器の光沢。金管楽器はとても輝いているから、近くの風景を反射すると思うのだけれど、それがしっかり表現されている。

世界観・設定

TVアニメ1期に比べると、高校生の熱い青春が凝縮された感じがする。「上手くなりたい!」という気持ちがビシバシと伝わってきた。

ストーリー

劇場版総集編の見どころは、どのシーンが採用されて、どのシーンがカットされているかという部分だ。それでいくと、以下のシーンがカットされているのがわかる。

  • 葵ちゃん関連のシーン
  • ポニテ先輩がオーディションで落ちた後に久美子を慰めるシーン
  • 久美子の家族のシーン

以上のシーンがカットされていた分、久美子たちの熱い青春が強調されていた気がしている。あと、サンフェスの『ライディーン』の演奏シーンが新規追加されていたのが印象的。

演出

新規カットが追加されたことに加え、一部シーンの演出も変更されている。特に印象的だったのは地区大会直前で久美子が泣きながら橋を駆け抜けるシーン。久美子の声と泣き声がミックスされる演出が用いられていた。これは映画館で見たら、より感情移入できただろうなぁ。

キャラ

『ユーフォ1期総集編』では、尺の関係で久美子の「上手くなりたい!」という気持ちがフォーカスされていた。逆に、上級生のシーンが大幅にカットされていて、個人的にはちょっと残念。夏紀先輩をもっと見たかった。

音楽

今回の『ユーフォ1期総集編』は声を全部撮り直しているらしい。それとサンフェスの『ライディーン』の尺を伸ばしてくれたのは個人的にめちゃくちゃ嬉しかった。やっぱり『ユーフォ1期』の一番の見せ場はサンフェスだと思う。実際、作画のこだわりが一番よく見られるのもサンフェスだった。

『ユーフォ1期総集編』の感想

※ネタバレ注意!

TVアニメを見てる人でも楽しめる作り

このようなTVアニメの劇場版総集編は、色々な楽しみ方があると思う。

まず基本的に劇場版総集編は、映画館で上映される。そのため、いつもの視聴環境に比べて映像・音楽の迫力が増していることがほとんどだ。残念ながら僕は『ユーフォ1期総集編』をPCで視聴したけれど、それでも音響を工夫しているのはわかった。特に『ユーフォ1期総集編』は吹奏楽をテーマにしたアニメだ。音響にとてもこだわっているのがわかる。

個人的にはトランペットのソロパートのオーディションが印象的だった。やはり中世古香織よりも高坂麗奈の方が、トランペットの迫力が間違いなく凄かった。

また『ユーフォ1期』は登場人物が非常に多いため、初見で全員の立ち位置を理解するのは難しかった。しかし劇場版総集編であれば、事実上の2週目の視聴を余儀なくされるため、ストーリーやキャラクターをあらためて理解できる。

このようにして『ユーフォ1期総集編』は、ストーリーを把握しているTVアニメ視聴勢でも、楽しめる作品に仕上がっていた。

「上手くなりたい!」にフォーカス

劇場版総集編はTVアニメ1クールを映画1本に収める必要があるため、必然的にストーリーが大幅カットされる。そのため、この作品において何が重要で、何がそこまで重要でないかが理解しやすくなっている。

正直に言えば、TVアニメの『ユーフォ1期』は、良くも悪くも色々なテーマを詰め込まれていた。そのため、この作品で”何を一番伝えたいのか”が曖昧になっていたように思える。

しかし劇場版総集編では、尺の都合で重要なシーンだけを切り抜く必要があるため、多くのテーマを詰め込むことができない。だからこそ視聴者としては、『ユーフォ1期』で最も伝えたかったことがわかりやすくなる。

それでいくと『ユーフォ1期総集編』は「上手くなりたい!」という気持ちにフォーカスしていたように思える。これまでふわふわとした時間を過ごしていた久美子や吹奏楽部は、滝先生の指導により、本気で全国大会を目指すようになる。

特に、新生北宇治高校吹奏楽部が初めて演奏したサンフェスの『ライディーン』で、新規カットが追加されているのが印象的だった。たしかに終盤の県コンクールの演奏も素晴らしいけれど、吹奏楽部の「上手くなりたい!」という気持ちが最も伝わってくる演奏シーンは、この『ライディーン』だったと思う。だからこそ『ライディーン』で新規カットを追加したのだろう。

さいごに

ということで『ユーフォ1期総集編』を視聴し終えた。このような劇場版総集編は退屈になりがちだけど、京アニが色々と工夫してくれたおかげで、普通に楽しむことができた。

次は『ユーフォ2期』を視聴して、ブログに上げていこうと思う。

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