今回は『金の国 水の国』について語っていく。
『金の国 水の国』は2014年から2016年に『月刊flowers』で連載されていた漫画が原作。これの劇場アニメが2023年1月に上映された。アニメ制作はマッドハウスが担当した。
『金の国 水の国』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 73点 |
世界観・設定 | 70点 |
ストーリー | 70点 |
演出 | 70点 |
キャラ | 70点 |
音楽 | 70点 |
作画
作画のクオリティはそこそこ。ギリギリ劇場版クオリティという感じだった。特別キャラの動きがいいわけではないし、背景が超美しいということもない。
世界観・設定
栄えているけど水がない金の国と、水があって自然豊かだけど富がない水の国の物語。ザ・ファンタジーという感じの世界観だ。
ストーリー
ストーリーは典型的な少女漫画。とてもピュアなラブストーリーだったと思う。んで「2023年初泣き!」というプロモーションだったけど、少女漫画が好きなピュアな人じゃないと泣けないって、これは。
演出
演出もかなり単調だったと思う。とりあえずクライマックスシーンに壮大なBGMを挿入したり、逆にBGMを止めたり、照明を工夫したりという、ありきたりな感じだった。斬新さはない。こういう類のは何回も見てきた。
キャラ
キャラは女性にウケそう。萌え要素はほとんどなしで、ヒロインも特別可愛いわけではないので、感情移入しやすいと思う。それで主人公の仲間になるサラディーンは大人気声優・神谷浩史が声を担当している。
ちなみにヒロインのサーラは浜辺美波、主人公のナランバヤルは賀来賢人が担当。賀来賢人に関しては、想像以上に演技が上手かった。
音楽
「音楽は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』」というプロモーションになっていて、たしかに『金の国 水の国』の音楽はEvan Callが担当している。でも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の楽曲は、どちらかというとランティスの影響の方が大きかったんじゃないかなと僕は考えている。
ということで「音楽は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』」というプロモーションをあまり信用していなかったけど、案の定、特別すごい楽曲だったわけではなかった。もちろんEvan Callが作り出す壮大な劇伴は素晴らしいのだけれど、泣けるというほとではない。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のED『みちしるべ』にEvan Callは関与してないしね。
『金の国 水の国』の感想
※ネタバレ注意!
女心は難しい……
「2023年初泣き!」というプロモーションだったので、それなりに期待して映画館を訪れたのだけれど、全然響かなかった。笑
でも館内にいた女性客からすすり泣く音が聞こえたので、多分、女性にはウケるんだと思う。それも、少女漫画好きのピュアな女性ね。
そういえば『フルーツバスケット』の映画を鑑賞した時も、隣に座っていた女性が号泣していた。けど僕は、それほど響いてはいない。まあそれも当然で、『金の国 水の国』も『フルーツバスケット』も少女漫画が原作なのだから、僕みたいな男性をメインターゲットにしていないのだ。
でもそれはつまり、僕が女心を理解していないということでもあるわけなので、それはそれでなんだか悔しい。笑
とはいえ『BANANA FISH』のように、男性が楽しめる少女漫画はいくつかあるので、これからも少女漫画の有名作は見ていこうと思う。女心を学ぶために!
センスが微妙?
『金の国 水の国』は、とりあえず劇場版クオリティの及第点は達成してると思う。スクリーンの大きさを活かした画も見受けられたし、全体的に作画が安定している。明暗の使い方も良くて、特に金の国の背景は印象的だった。
ただし、限られたリソースで上手くやれていたかといわれると、それは少し微妙だ。特に演出が微妙で、非常に単調だったと思う。音楽の使い方とか、クライマックスの際の画の構成は、もう少しやりようがあったのではないだろうか。これに関しては制作費とかクオリティっていうよりも、単純にセンスの問題だ。個人的には、ヒロインのサーラのぽっちゃり具合を、もう少し動きで強調しても良かったんじゃないかなぁと思う。
その一方で、脚本はかなり上手くやれてた。尺を削るためにアニメオリジナル要素を加えたらしいのだけれど、違和感はあまり感じなかった。
さいごに
なんだかんだで2023年初めての映画だった。『金の国 水の国』は残念ながらあまり刺さらなかったのだけれど、最低限のクオリティを保っていたのは間違いない。
ちなみに公開日が1月27日(金)で、僕は週明けの30日(月)の15時ごろで視聴したのだけれど、観客は僕含めて4人だけ。そして僕以外は30代か40代ぐらいの女性だった。……多分、興行は微妙かなぁ。