今回は『無職転生 〜異世界行ったら本気出す〜(以下、無職転生)』について語る。『無職転生』は小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されていたライトノベルが原作だ。現在はMFブックスにて刊行されている。2021年11月時点の累計発行部数は960万部だ。
そして2021年冬クールに第1クール、2021年秋クールに第2クールが放送される。アニメ制作会社はスタジオバインドだ。スタジオバインドは『無職転生』のために設立されたアニメ制作会社であり、『リゼロ』や『シュタゲ』を手がけたWHITE FOXが出資している。
『無職転生』の感想
ネタバレしていないので、未視聴の方でも安心して読めます。
感想①:ザ・異世界もの
これまで多くの異世界系の作品が誕生してきた。有名な作品では以下の通りになるだろう。
- 転生したらスライムだった件
- オーバーロード
- この素晴らしい世界に祝福を!
- Re:ゼロから始める異世界生活
- 幼女戦記
- 盾の勇者の成り上がり
そして実は、”王道の異世界系”の作品が台頭してこなかった。幼女が軍人になったり、ギャグに全振りしていたりと、異世界転生作品は差別化がされていたのだ。
そんな状況の中、『無職転生』のTVアニメが2021年に放送された。『無職転生』の原作ライトノベルは、異世界系の中でも古参の部類に入る作品だった。だが、原作者の意向なのか、TVアニメ化が中々進まなかった。
『無職転生』は超王道の異世界系だ。ニートが転生して赤ちゃんになるところから物語がスタートする。その後は、持ち前の才能を活かしつつ一生懸命努力して、メキメキ強くなっていく展開だ。
もちろん、ずっと主人公最強プレイをするわけではない。強敵のレベルもかなり高く、壁にぶつかることも多い。
だが、「これぞ異世界系」といったストーリー展開だった。アニメ初心者に異世界系を薦めるなら、僕は『無職転生』を薦めると思う。
感想②:転生前と転生後の比較がメイン
『無職転生』の見どころは転生前と転生後の比較だ。
現在、多くの異世界系作品は現実逃避的な展開になっている。「現実世界はダメだったから異世界は楽しもう!」みたいな感じで。しかし、『無職転生』は転生前の境遇と真摯に向き合ったストーリー展開だ。
『無職転生』の主人公であるルーデウス・グレイアットは内山夕実が声を担当している。だが、心情描写の際には、前世のキャラということで杉田智和が声を担当している。つまり、キャラの声と心情描写の声で声優の使い分けがされているのだ。
ライトノベルの魅力は心情描写にある。だが、TVアニメでは映像がメインになるため、心情描写が疎かになることが多い。ところが、『無職転生』では声優の使い分けをすることで、心情描写を強調させることに成功している。
『無職転生』がキッカケで、1人のキャラに対して声優の使い分けがされるようになるかもしれない。ライトノベル原作のアニメの表現技法のブレークスルーになるだろう。
『無職転生』の評価
作画 | 92点 |
世界観・設定 | 85点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 80点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 80点 |
作画
作画はレベルがとても高い。キャラの作画もそうだが、背景美術も良い。
世界観・設定
異世界転生系の中でも最もメッセージ性の強い設定だった。
ストーリー
次が気になるストーリー展開で、全く飽きない。
演出
絵本の物語のような演出が散りばめられていた。これぞ、RPGファンタジーといった感じ。
キャラ
ヒロインたちがとても可愛らしい。
音楽
無職転生の雰囲気に合った楽曲チョイスだった。
さいごに
アニメビジネス的に考えれば、『無職転生』の続編制作は堅い。しかし、『無職転生』を刊行しているMFブックスは、続編をガンガン制作しない印象がある。そこが続編制作の可能性における唯一の懸念点だ。
だが、スタジオバインドは『無職転生』のために設立された企業だ。続編制作をやらないわけにはいかないはずなので、85%ぐらいの確率で、『無職転生』の続編制作が決まるだろう。
ちなみに『無職転生』はKADOKAWAの異世界転生作品なので、『異世界カルテット』に登場する可能性が高いように思える。『異世界カルテット』は映画が上映される予定なので、そこで『無職転生』がゲスト出演し、『無職転生』の続編決定が発表…、というシナリオも考えられる。
どちらにせよ、『無職転生』の続きは気長に待とうと思う。
追記:TVアニメ2期が放送されました!