今回は『劇場版オーバーロード 聖王国編』について語っていく。
『オーバーロード』は、丸山くがねによるWeb小説が原作で、2015年夏クールにTVアニメ1期、2018年冬クールにTVアニメ2期、2018年夏クールにTVアニメ3期、2022年夏クールにTVアニメ4期が放送される。
そして2024年9月に『劇場版オーバーロード 王国編』が上映される。
また、上映前1週間限定でIMAX版も上映。僕はIMAX版を鑑賞した。
アニメ制作は前作に引き続き、マッドハウスが担当している
『オーバーロード聖王国編』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 80点 |
世界観・設定・企画 | 80点 |
ストーリー | 79点 |
演出 | 78点 |
キャラ | 79点 |
音楽 | 80点 |
作画
作画のクオリティはまずまず。戦闘シーンも基本的にはヒキで描かれていて、ちゃんとリソースを計算している印象を受ける。
凄まじい作画のクオリティというわけではないのだが、常に安定しており、全体的にとても見やすい。
世界観・設定・企画
相変わらずデミウルゴスは姑息な手段を使うが、今回は全体的にわかりやすい。アインズがバラハを気に入りながらも、少しずつ聖王国を掌握していく感じだ。
なお、本作は「正義」がテーマになっていて、ここに「信仰」も掛け合わされていて、中々おもしろい世界観になっていた。
ストーリー
聖王国編は原作小説で言うと2冊分で、それを1本の映画にしているから、ちょっと走り気味。実際、ストーリーはところどころ端折っている印象を受けた。が、普通におもしろいし、アインズの「ルーンの弓」の件も、いい意味で浅かったからおもしろかった。
演出
目立つ演出は少ないが、全体的に自然な画面構成になっていて、違和感を何も感じなかった。超王道の絵コンテという感じ。
キャラ
『オーバーロード』あるあるだと思うが、人間たちの愚かさを主に描くために、ナザリックの主要人物が全然登場しない。今回で言えば、階層守護者だとアルベドとデミウルゴスしか登場しておらず、シャルティアやコキュートスは全く登場しない。が、それを考慮してなのか、上映前の注意でちゃんと出してあげている。笑
音楽
主題歌はOxTの『WHEELER-DEALER』で、ダークな感じがカッコいい。オーイシマサヨシっていろんな歌い方ができるんだよなぁ。すごいなぁ。
『オーバーロード聖王国編』の感想
※ネタバレ注意!
人々は、自分の求める正義を求める
今回の『オーバーロード聖王国編』のテーマは「正義」だったと思う。
現在、中東や東ヨーロッパで戦争が勃発しているけれど、それは各々の国々が、自ら掲げる正義を強く信じるからである。そしてそれが相手国の正義と噛み合わないときに、争いは起こる。
しかし、そもそも正義はどのようによって形成されるのだろうか。
『オーバーロード聖王国編』では、アインズとバラハの関係性を描きながら、どのように「正義」が育まれるかが描かれていく。
本作の舞台となっているローブル聖王国は、「聖」とついているだけあって、きっと宗教国家なのだろう。レメディオスの発言を見るに、どうやらこの国では、聖王女のカルカが絶対的な正義らしい。そしてカルカ様は「誰一人失わない正義」を強く信じている。
しかし実際に、誰一人失わずに国を守ることはできない。少なからずの人を犠牲にすることで、国全体を守ることができる。
バラハは、聖王国やレメディオスが信じる正義に対して懐疑的で、別の正義を求めていた。そんな中、絶対的な力を「正義」とするアインズが登場したわけである。
別に、レメディオスが信じる正義も、バラハが信じる正義も「どっちの方が優れている」みたいなものはない。たしかにバラハが信じる正義の方が現実的なのかもしれないが、レメディオスのように理想的な正義を掲げてもいい。実際、日本は理想的な正義である「平和主義」を掲げているわけだし。
だが、そこはそこまで重要ではなく、それよりも「バラハが別の正義を求めていた」という点に注目した方がいいのだろう。
正義は、言わば「神」のようなもので、信仰対象なのである。愚かな人々は、自分が求める正義を求めるのであって、端的に言えば、自分にとって都合のいい正義を求めているのだ。
さいごに
『オーバーロード』は、一応完結する予定らしく、おそらく最後までアニメ化される可能性が高い。それがTVアニメ5期なのか劇場版なのかはわからないが、ここまで来たら最後まで映像化されるだろう。
ということで、続編発表を楽しみにしようと思う。
それと『オーバーロード』は原作の設定をカットしている部分が大きいので、いつか原作小説も読みたいなぁと思っている。