【戦姫絶唱シンフォギア第1期感想】音楽系アニメとしての立ち位置

シンフォギア1期

今回は『戦姫絶唱シンフォギア(シンフォギア1期)』について語っていく。

『戦姫絶唱シンフォギア』は、音楽制作会社「Elements Garden」の代表・上松範康によるアニメオリジナル作品で、2012年冬クールで放送された。

アニメ制作はサテライトが担当している。

目次

『シンフォギア1期』の評価

※ネタバレ注意!

作画83点
世界観・設定・企画70点
ストーリー70点
演出80点
キャラ70点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

全体として作画の品質は高く、ライブシーンから戦闘シーンまで隙がなかったように思う。キャラデザは安定していたし、それでいて迫力もあった。ヌルヌル動かしてるだけ感は否めないけど、2012年制作のアニメならこんなものだろう。

世界観・設定・企画

音楽プロデューサーが原作を務めているだけあって、流石に音楽でゴリ押してくる。全13話で何回音楽を聞いたことか……。笑

正直、世界観とか設定はブレブレだと思うけど、企画として成功したのは間違いなく、実際にセールスは順調だと思う。

ストーリー

ややこしい世界観の説明からエンディングまで、上手く全13話に収めたと思う。一方で、もし2クールだったらもっと本質的な部分を深掘りできたのではないかとも思った。

あと、結果として、絶唱の重みがほとんど失われてしまったのは残念である。

演出

本作の設定は「歌って戦う」ということで、戦闘シーンやクライマックスで存分に挿入歌を使える。しかも、その挿入歌は戦闘シーンで挿入することを想定しているため、映像との相性が抜群だ。

ライブシーンや戦闘シーンでは、可能な限り画を動かそうという試みが感じられるので、印象はいい。

キャラ

少し声優でゴリ推してる感はあるものの、全体的にキャラはいい感じ。百合要素もふんだんに盛り込まれていて、ビジネスとしてキャラを作ってる感じはある。それ以下でもそれ以上でもない。

音楽

流石に音楽は強力だ。シンセサイザーを全面に出した音楽で、ボーカルにもリバーブをかけて、ライブ会場での演奏を想定しているように思う。この点に関しては、他の音楽系アニメに比べて、こだわりを感じる。特にOP『Synchrogazer』の破壊力は凄まじく、毎回、鳥肌が立った。

『シンフォギア1期』の感想

※ネタバレ注意!

なんかハマり込めない……

僕はアニメ作品を楽しむために、可能な限り、アニメの世界に没入したいと考えている。そのために色々な工夫もしてきた。もちろん、本作も例外ではない。『戦姫絶唱シンフォギア』は、もはやキングレコードの看板作品と言っても過言ではなく、パチンコの影響で知名度もそれなりに高い。だから、本作が一体どんな作品なのかをちゃんと感じ取りたかった。

しかし、なぜかハマり込めない。第1話を視聴したとき、響が覚醒する瞬間に流れた『Synchrogazer』がヤバすぎて「これはおもしろそう!」となったのだけど、中盤からはどうも軸が見えてこない。「櫻井了子が実はラスボスだった」などのストーリー上のギミックもあったけれど、それはあくまでもストーリーを引き立てるスパイスに過ぎず、その奥にある思想や信念みたいなものが見えなかったのだ。

いや、違う。そもそも本作はセールスや客ウケを第一目標に制作されたアニメである。もちろん、それ以外にもメッセージ性の追求とかはあったと思うけど、優先順位として、セールスが最優先事項だったのは間違いない。だからストーリー上で、マーチャンダイジングの要となる主要人物を殺すわけにはいかない。

その結果、絶唱の重みが失われた。これが、僕が作品にのめり込めなかった最大の理由だと思う。

絶唱は、とてもいい設定だ。絶唱を歌うことで、生命力を削る代わりに、とんでもないエネルギーを扱えるようになる。この絶唱を活用すれば、自分の命を懸けて戦い、美しく散らせることができる。むしろ、そのためにあるようなものだ。

しかし本作は、絶唱を使っても中々死なないどころか、副作用もほとんどないように見える。これでは、絶唱はただのパワーアップ手段で終わってしまう。そりゃあ緊張感が失われて当然だ。

まあ実際のところ、そんなことをファンは求めていないのかもしれないが、しかしセカイ系というか、スクラップ的な要素のある本作に関しては、ちょっと強いぐらいの緊張感を持たせた方がいいと思う。

音楽系アニメにおける『シンフォギア』の立ち位置

Wikipediaによると、本作は『涼宮ハルヒの憂鬱』『マクロスF』のように、ライブシーンのあるアニメがヒットする現状を受け、「ライブとアニメが融合する作品はウケる」という判断の下、制作されたアニメとのことだ。たしかに、ライブとアニメが融合する作品は、大ヒットになりやすい。

『シンフォギア1期』の1年後に放送された『ラブライブ!』が、その典型例だろう。

ライブとアニメが融合する作品がウケる理由は、シンプルに音楽がある。そもそも映像作品は、映像と同じくらい音楽が重要なのである。音楽系アニメは、当然のことながら音楽に力を入れるため、結果として品質が向上。それだけでなく、CDやライブなどの収入も見込める点で、ビジネスに良い影響を与える。

また、音楽配信サービスの登場により、10年以上前の楽曲を簡単に聴けるようになった。この影響で、楽曲が優れた作品は長期的に好まれる傾向があり、実際に僕は『けいおん!』や『涼宮ハルヒの憂鬱』の楽曲をヘビロテしている。

ということで「ライブとアニメが融合した作品」は、短期的にも長期的にもビジネスとして美味しいのである。

それで、これまでに数多くの音楽系アニメが放送されたわけだが、その中で『シンフォギア』はどのような立ち位置にあるのだろうか。これは大きく分けて2つの視点がある。

1つめは、ビジネスとしての視点だ。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ラブライブ!』はランティスが音楽制作していることから、実質的にはバンダイナムコの領域である。『マクロスF』も、菅野よう子を軸に、フライングドッグが音楽を制作していることから、実質的にはVictorの領域だ。そう考えると『キングレコード』は、やはりキングレコードの領域ということになる。アニプレックスも製作委員会に参加してはいるが、楽曲のラインナップを見ても、キングレコードが幅を利かせているのは間違いない。

2つめは、音楽ジャンルとしての視点だ。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』の楽曲は、バンドサウンドが中心になっている。『ラブライブ!』や『マクロスF』に関しては、大まかに言えばアイドルソングに該当する。
では『シンフォギア』はどうだろうか。『シンフォギア』も一応はアイドルソングに該当しそうだが、サウンドに注目すると、シンセサイザーが中心になっているのが特徴となっている。なんだかんだで、シンセサイザーで統一している音楽系アニメは『シンフォギア』くらいしか思いつかない。

シンセサイザーを中心とした楽曲制作により、まずライブでの盛り上がりが飛躍的に向上する。それに加え、これは個人的な私見だが、パチンコとの相性もいいのではないだろうか。実際、僕は『シンフォギア』を遊んだことがあるけど、あのシンセサイザーの音が、見事に僕の脳を溶かしてくれた。

さいごに

ひとまず『シンフォギア』は追いかけてみようと思う。

僕も『シンフォギア』はパチンコでお世話になっていたことがあるし、音楽系アニメの中でもかなりビジネスに寄せていると思われる本作の動きは、少し気になる。

ということで、時間があったら続編を視聴していこうと思う。

この記事をシェア
目次