今回は『ウマ娘 プリティーダービー Season2(以下、ウマ娘2期)』について語っていく。
『ウマ娘1期』が2018年春クールに放送された後、2021年冬クールに『ウマ娘2期』が放送された。
『ウマ娘1期』はP.A.WORKSがアニメ制作を担当したが、『ウマ娘2期』はスタジオKAIがアニメ制作を担当している。
『ウマ娘2期』の感想
ネタバレ注意!
運命は本当に残酷だ
『ウマ娘』は、怪我との戦いがストーリーの軸となっている。
『ウマ娘1期』はスペシャルウィークとサイレンススズカの怪我の戦いだったし、『ウマ娘2期』はトウカイテイオーとメジロマックイーンが故障を繰り返していた。
ただし、『ウマ娘2期』の方が残酷だったのは言うまでもない。
まずトウカイテイオーは3回の骨折に悩まされることになる。しかも3回目の骨折では「もう完全に走れない可能性が高い」と医師に宣告されてしまうのだ。
一方のメジロマックイーンは、トウカイテイオーに比べると、自分の思い通りに走ることができた期間が長かったように思える。だが、最後の最後で致命的な怪我をしてしまい、これによって精神をかなり病んでしまう。
私事になるが、僕は中学から大学までの10年間スポーツに打ち込んでいて、幸運なことに故障で苦しむことがほとんどなかった。それに、仮に故障していたとしても、スポーツ以外の道を見出せる自信がそれなりにあった。
だがウマ娘たちは訳が違う。おそらく、彼女たちは走るためだけに生きているわけだから、”故障で走れなくなる”というのは、人生に関わる致命的な問題なのだ。
実際のところ、現実のアスリートの大半も、ウマ娘と同じ思考に陥っていると考えられる。「怪我してしまったら自分には何も残らない」という気持ちを抱いているはずだ。
ここまで考えてしまうと、ウマ娘たちに自然と感情移入してしまう。怪我に苦しみながらも前を向き続けるトウカイテイオーやメジロマックイーンのことを見ていると、「俺も頑張ろう!」と自然と思えてくるのだ。
『ウマ娘2期』は勇気を与えてくれる作品なのである。
終盤の怒涛の展開は、ツインターボから始まった
全体的に苦しい局面が続いた『ウマ娘2期』だが、特に終盤は怒涛の展開だ。
そしてこの怒涛の展開のきっかけを作り出したのは、間違いなく第10話「必ず、きっと」のツインターボの名シーンだ。トウカイテイオーの引退に猛反対したツインターボが、オールカマーで逃げ切りの1着を決めるシーン。今まで完全にネタキャラ扱いされていたツインターボが奇跡を起こすシーンに、僕は思わず泣いてしまった。
このシーンから、トウカイテイオーの奇跡の復活が始まることになる。
と思った矢先に、第12話「ふたり」でメジロマックイーンが選手生命に直結する故障をやってしまう。だが、そんなメジロマックイーンに対して「奇跡は起こせる」ということを証明しようと決意したトウカイテイオーが、有馬記念で奇跡の1着を掴み取るのだ。もちろんここでも、僕は泣いた。
という凄まじい展開が終盤で展開されたわけだが、やはりきっかけを作ったのがツインターボだったのは間違いない。「だからなんだよ」という話だと思うが、こういう”きっかけ”というのは脚本構成において非常に大切なことだと僕は思う。
実際、僕はこのツインターボの神回を見てから、そのままの勢いで最終回まで視聴してしまった。それって脚本としては成功だよね。
『ウマ娘』ロスを発症
『ウマ娘2期』を視聴してから、僕はしっかり『ウマ娘』ロスを発症させてしまった。例外なく、ロスを発生させるアニメ作品は大体名作である。
ただし、すべての名作でロスが発症するわけではない。登場人物に強く感情移入できる作品がロスを発生させるのだと思う。あと、”感動”とか”余韻”も大切な要素だ。
そして感情移入を促すには、面白い感じの日常シーンを挟み込むことが必要不可欠。その点、『ウマ娘2期』は適度に日常シーンが挿入されていて、そのどれもがしっかり面白かった。
それにしても、ロス症状が発生している時ってそれなりに辛いんだよな……。最近はロスを発生させるにつれて回復期間も短くなってるけど、『ウマ娘』の続編が早く来てほしい。
『ウマ娘2期』の評価
作画 | 82点 |
世界観・設定 | 84点 |
ストーリー | 87点 |
演出 | 87点 |
キャラ | 83点 |
音楽 | 78点 |
作画
作画のクオリティは全体的に高かった。アニメ制作会社が変更されているから少し不安だったけど、特に問題なかったらしい。所々でP.A.WORKSスタッフがヘルプしてたようだし。
ただし、街中を歩いている一般人やウマ娘が走るシーンのヒキの時に用いられる3DCGのクオリティの低さはいただけない。これが改善されていたら、90点越え(僕的評価)は間違いなかった。
それと、作画で一番気合い入ってたのは最終回のライブシーンだと思う。『ラブライブ!』よりもクオリティが高かった。
世界観・設定
実際に競馬で活躍してきた競走馬たちが萌え擬人化されている。『ウマ娘2期』のW主人公であるトウカイテイオーとメジロマックイーンは現実でもライバル関係だった。また、トウカイテイオーが慕っているシンボリルドルフは、現実では親子関係だ。
僕は競馬の知識がほとんどない状態で『ウマ娘2期』を見たけど、競馬に強い興味を抱くようになった。逆に元々競馬を知っている人からしたら『ウマ娘2期』の設定は最高だったと思う。
ストーリー
非常に起伏の激しいストーリーだった。1クールの間で栄光と挫折がこれだけ繰り返されるアニメ作品があっただろうか。そして最終回の有馬記念におけるトウカイテイオーの復活は、実際の史実に則ったものだ。だとすると、現実の競馬ってめちゃくちゃ熱すぎないか!?
演出
視聴者の感情を揺さぶる演出だったと思う。つまり、質の高い演出だったということだ。
起伏の激しいストーリーだったというのもあるけど、それをさらに演出で強調していた感じである。特に第9話「ストップウォッチ」あたりからの演出は凄まじかった。
キャラ
トウカイテイオーが好きです。名前の響きがカッコいいし、キャラデザも良いし、声が個人的にかなり好みだった。
また、『ウマ娘2期』は主人公格であるチームスピカ以外のウマ娘たちが深掘りされていた。ライスシャワーとか絶対人気あるだろうな。『五等分の花嫁』の三玖みたいな雰囲気を感じる。個人的に全くタイプではないのだけど。
音楽
主題歌のクオリティは全体的に高い。さすがランティス。
OPかEDかだと、OP『ユメヲカケル!』が好み。というか『ユメヲカケル!』のOP映像の作り込みが素晴らしい。イントロのトウカイテイオーの王者感漂う表情とか、サビの合いの手の時のキタサンブラックとサトノダイヤモンドのやつとか。
さいごに
『ウマ娘』はTVアニメ3期の制作が決定している。アニメ制作は『ウマ娘2期』に引き続き、スタジオKAIが担当するらしい。
ちなみにネット上では「主人公が誰になるのか?」という議論が発展している。まあ順当にいけばキタサンブラック&サトノダイヤモンドか、ウオッカ&ダイワスカーレットだと思う。トレーナーとの関係性も『ウマ娘』の醍醐味だから、チームスピカが中心となるのは間違いないだろう。
どちらにしても早く視聴してみたい。ゲームの『ウマ娘』もやりたいけれど、ソシャゲからは距離を置くようにしているので、多分やらない。笑