今回は『幼なじみが絶対に負けないラブコメ(以下、おさまけ)』について語っていく。『おさまけ』は電撃文庫で刊行されているライトノベルが原作だ。発行部数は2021年4月時点で100万部を突破している。
そして2021年春クールにアニメが放送された。アニメ制作会社は動画工房だ。動画工房といえば萌えアニメに定評があるので、一見『おさまけ』とは相性が良いように思える。
『おさまけ』の感想
※ネタバレ注意!
感想①:思ってたのと全然違う…
思ってたのと全然違った。悪い意味で裏切られた気がする。
『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』というタイトルなので、とりあえず幼なじみが無双するラブコメなのかなと思ったら、全然そんなことない。普通に四角関係的なラブコメが展開されている。
一応、恋愛頭脳戦みたいな雰囲気を醸し出しているものの、中途半端に頭を使った茶番みたいなラブコメになってしまった。TVアニメを見ているとアニメ制作というより原作に問題がある気がするのだが、原作を読んでいないのでなんとも言えない。
『おさまけ』を視聴する前は、『よう実』のラブコメバージョンなのかなと思っていた。女性は計算高いってよく言うし、ちゃんと計算されたラブコメを展開してくれるのであれば、それはそれでめちゃくちゃ面白そうだからだ。
しかし、ヒロイン3人とも普通に感情で動いているように見える。これだったら、三角関係をキープするために自分の立ち位置にふさわしい行動を徹底し続けながらも恋に苦しんだ『俺ガイル』のガハマさんの方が、よっぽど頭が良いのではないだろうか。
感想②:動画工房なのに作画が微妙
ストーリーの問題は一旦置いといて、何よりも問題だったのは作画だ。作画や演出に定評のある”あの”動画工房が作画崩壊してしまったのだ。
まず第一に、動画工房はライトノベルのアニメ化があまり得意ではないように見える。今まで評価の高かった作品はどれも漫画原作のアニメであって、ライトノベル原作のアニメではない。漫画をアニメ化する際は作画の構成がイメージしやすいと思うが、ライトノベルはゼロから作画の構成を考える必要があったりするので、アニメ制作会社によって得意不得意があるのだ。
もっと言うと、動画工房の魅力が最大限に発揮されるのは、ちょっとクセの強いキャラデザの漫画をアニメにするときだ。最近だと『魔王城』はすごい良かったし、『うまるちゃん』や『ゆるゆり』も評価の高い作品だ。そしてどの作品にも共通しているのは、ちょっとクセの強いコミカルなキャラデザの漫画原作であることだ。
そう考えると『おさまけ』のように、比較的キャラデザが整っているライトノベルは、動画工房と相性最悪なのかもしれない。
『おさまけ』の評価
作画 | 10点 |
世界観・設定 | 25点 |
ストーリー | 25点 |
演出 | 25点 |
キャラ | 30点 |
音楽 | 20点 |
作画
作画崩壊案件。日常シーンは悪くないんだけど、あのダンスシーンで完全にアウト。
世界観・設定
この世界観でラブコメを展開するなら、心情描写の高いセンスが求められる。そうでないとただの茶番になってしまう。
ストーリー
ストーリーもよく分からない。戦略ラブコメなのか、ただの純愛なのか、そこらへんが曖昧。
演出
ストーリーが微妙なので演出も効かない。
キャラ
パッと見は良さそうだけど、見れば見るほど印象が悪くなる珍しいパターン。
音楽
僕は音楽については優しい方だし、最近のアニソンはどれも良いのだけれども、『おさまけ』は微妙。音楽もそうだけど、映像がちょっと酷い。笑
さいごに
『おさまけ』の2期制作はかなり厳しい。ただでさえ続編制作をしない傾向にある電撃文庫作品なのに、ここまで低評価だと2期制作は厳しいだろう。だったら素直に『エロマンガ先生』の2期をとっとと制作したほうがいい。
とはいったものの、なぜこんなことになってしまったのだろう。笑
動画工房の次回作の『先輩がうざい後輩の話』に期待です。