【文スト4期感想】神は、既定路線の運命ではなく、愚者の偶発性が好き

文豪ストレイドッグス

今回は『文豪ストレイドッグス 第4シーズン(以下、文スト4期)』について語っていく。

『文スト』は朝霧カフカと春河35による漫画が原作だ。2016年春クールに『文スト1期』が放送された後、2016年秋クールに『文スト2期』、2019年春クールに『文スト3期』が放送。また、2018年3月には『映画文スト』も公開された。

そして2023年冬クールで『文スト4期』が放送される。アニメ制作はボンズが担当した。

目次

『文スト4期』の評価

※ネタバレ注意!

作画80点
世界観・設定80点
ストーリー80点
演出80点
キャラ80点
音楽75点
※個人的な評価です

作画

作画は違和感がほとんどなく、キャラクターデザインも安定していながら、動きもある。ボンズらしい作画だった。特に『文スト4期』は全体的に戦闘シーンが多かったので、いつも以上に見応えがあった。

世界観・設定

ここにきて『文スト』の物語の核を握る「本」を活用した世界観に。これによって、よりメタ的な世界観が強調されるようになった。なんだか壮大なSF作品みたいになってきている。

ストーリー

前半は武装探偵社設立の秘話が描かれた。ということで、福沢諭吉と江戸川乱歩が深掘りされる。また、中盤以降は天人五衰編が描かれ、完全完結といかない状態で『文スト4期』が終了する。これまでにはなかった絶望的な展開で、本当の意味で、武装探偵社のピンチが描かれている。これまでの『文スト』の中でストーリーが一番面白かったし、構成自体も良かったと思う。

演出

戦闘シーンのキレが抜群。『文スト4期』では戦闘シーンが多かったけれど、クオリティを落とすことなく、しっかり仕上げられていた。

また、武装探偵社設立の演出が全体的に良かった。そしてこれまで以上にミステリー性が増したストーリーだったけれど、その辺の演出も良かった。

キャラ

今回の新キャラは猟犬部隊。いずれもちゃんと実在する小説家がモデルとなっている。だが、僕は誰一人として知らなかった。笑 それなりにマイナーな方々なのではないだろうか。

ちなみに、ここに来て与謝野晶子の深掘りも実施されている。なんだかんだで武装探偵社全員が深掘りされているわけではないから、まだまだストーリーが続きそうだ。

音楽

OPの『TRUE STORY』とEDの『しるし』はイントロがとても印象的。だからエピソード中に挿入されると、それだけで非常に盛り上がる。

『文スト4期』の感想

※ネタバレ注意!

江戸川乱歩がいいね!

『文スト4期』の前半では、武装探偵社設立秘話ということで、福沢諭吉と江戸川乱歩の出会いが描かれた。特に、この出会いは江戸川乱歩にとって、とても大切なものだ。

というか『文スト4期』において、江戸川乱歩は特別な人間だ。異能力を持っているわけではなく、純粋な能力として、どんな事件でも真実をあばくことができる。

特に小栗虫太郎との推理バトルは見ものだった。小栗虫太郎は「完全犯罪」という異能力で、どんなことでも完全犯罪を仕掛けることができる。しかし江戸川乱歩は、それをメタ的に考察し「何らかの異能力で証拠が消されていること」をあばき、それを前提条件とすることで、事件の真実をあばいてしまったのだ。

武装探偵社の「探偵」というのは、まさに江戸川乱歩のことであり、乱歩がいなければ武装探偵社は全く成立しない。『文スト4期』で江戸川乱歩が深掘りされたことで、改めてその重要性を思い知らされた。

あ、あと神谷浩史が最高にキマってるよね。

“小説”が最大限活用されたストーリー

今回の『文スト4期』では、武装探偵社設立秘話から天人五衰編まで、終始、メタ的な要素が強かった。例えば先ほど述べた小栗虫太郎と江戸川乱歩のバトルは、メタ的な考察がベースにある。天人五衰編も、「本」によって世界設定が書き換えられているため、これも非常にメタ的だ。

そう考えると『文スト』は、”小説”というメディアを最大限活用したストーリーになっていることがわかる。実在する”小説家”をキャラクターに仕立て、その代表作を異能力に置き換える。そして、世界観すらも「本」によって書き換えられるという設定なので、まさに小説の中のような世界。まあ実際、アニメの中の世界ではあるのだが、それも含めて『文スト』はメタ要素の強い作品だ。

個人的には、ラストの太宰治のセリフが非常に刺さった。ヒョードルは、まるで神が運命を定めているかのような調和が美しいと考えていた。しかし太宰治は「それは違う」とし、誰も予想がつかない偶発性こそが神の大好きなものだとしたのだ。

『文スト4期』に関していえば、立原道造がイレギュラーだった。本来は猟犬のスパイとしてポートマフィアに潜入していた立原道造は、ポートマフィアの魅力に惹かれてしまう。おそらく『文スト4期』のラストを見る限り、フョードルはこれを予想できていなかったと思う。

正直、僕は『文スト』を「女性(特に文学好き)を対象にした萌えビジネス作品」だと思っていた。だが『映画文スト』あたりから、ストーリーに厚みが増し、普通に興味深い作品だと認識するようになった。キャラだけでなくストーリーにも”小説”を活用している。『文スト』がどこに向かっていくのか、めちゃくちゃ気になる。

さいごに

これまでの『文スト』は、シーズンごとである程度の決着がついていた。だが『文スト4期』に関しては、やっと前半戦が終わるという感じで物語が終了する。なお、『文スト5期』が2023年夏クールで放送されていることが決定済みである。

ということで、これまで以上に続きが気になる終わり方になった。なんだかんだで僕もすっかり『文スト』ファン。しっかり追いかけていこうと思う。

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