今回は『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆(以下、映画転スラ 紅蓮の絆)』について語っていく。
TVアニメ2期の後半クールがが2021年夏クールに放送された後、2022年11月25日に『劇場版転スラ 紅蓮の絆』が公開された。アニメ制作は前作に引き続きエイトビットが担当している。
『劇場版転スラ 紅蓮の絆』の感想
ネタバレ注意!
想像以上のクオリティ
正直に言って『劇場版転スラ 紅蓮の絆』には、そこまで期待していなかった。というのも、ラノベ原作でオリジナルストーリーの劇場アニメで、ちゃんと面白かった作品がほとんどないからだ。『SAO』ぐらいだと思う。
そのうえ、『転スラ』のアニメは特別力が入っていたわけでもないから、『魔法科』とか『ダンまち』とか『禁書』みたいにコケるんじゃないかなと思っていたのだ。
しかし序盤の作画を見て、その考えが一瞬で消え去った。ゴブ太が森を駆け回るシーンの躍動感が想像以上にすごかったからだ。それだけでなく、全体的に動きの躍動感がいい。
これは、たくさんのリソースが割り当てられていたというわけではなく、限られたリソースの中で色々と工夫したのだと思う。
そういえばTVアニメの『転スラ』も、動きのセンスの良さを感じさせるシーンが一部であった。特にOPとか良かったよね。
それが『劇場版転スラ 紅蓮の絆』でも上手く引き継がれた感じだ。
終盤の急展開は少し見過ごせない
どれだけ作画が良くても、シナリオの急展開については少し見過ごせない。
実質的に『劇場版転スラ 紅蓮の絆』の主人公は、ベニマル達の兄貴分であるヒイロ。そしてヒロインはラージャ小亜国の女王であるトワだと思う。
そしてなんやかんやあってヒイロが暴走してしまい、その副作用として死亡することになる。だが、トワが全エネルギーを注ぎ込むことでヒイロが蘇生され、代わりにトワが死亡。そこからさらに、原初の悪魔の一人であるヴィオレの力によってトワが蘇生し、ハッピーエンドとなるのだ。
これはいわゆる”ご都合主義”というやつだろう。とはいえ、僕が個人的に「ご都合主義が嫌い!」というわけではない。「まあ誰も死ななかったし、結果オーライ!」という感じだった。
問題は、このご都合主義シナリオがあまりにも急展開だったことにある。
なんとこの「ヒイロが死亡してからトワが復活するまで」の過程が、わずか数分ほどで語られていたのだ。TRUEによる挿入歌『浄歌』の間で、この過程が全て語られる。
この超急展開はちょっと見過ごせない。これだったらいっそのことヒイロが死亡した方が、衝撃度が大きくて良かった気がする。
『劇場版転スラ 紅蓮の絆』の評価
作画 | 80点 |
世界観・設定 | 70点 |
ストーリー | 70点 |
演出 | 70点 |
キャラ | 80点 |
音楽 | 75点 |
作画
作画のクオリティは思っていた以上に高かった。「そんなに予算は出ないかな」と思っていたけど普通に劇場アニメクオリティだったと思う。もしこのクオリティでTVアニメも制作してくれたら90点ぐらいは余裕で付けれそう。
世界観・設定
『転スラ』の世界観をほとんど壊すことなく、オリジナル要素をしっかり取り入れることができていた。
ストーリー
TVアニメの『転スラ』はバトルシーンまでが退屈だったけど、『劇場版転スラ 紅蓮の絆』は序盤から中盤までもかなり面白かった。
その代わりに終盤の展開が雑。数分ほどで2回死んで2回生き返るのは流石に……。まあ無事で良かったけど!
演出
終盤の怒涛の展開を除けば、全体的に演出は良かったと思う。特に序盤でゴブ太がめちゃくちゃ俊敏に森の中を走るシーンは躍動感があって良かった。
キャラ
約1年ぶりに『転スラ』のキャラを見た。ラノベ界におけるビッグコンテンツということもあり、やはりキャラは強い。個人的には原初の悪魔の1人であるヴィオレが好み。
音楽
超王道というか、冒険ファンタジーの雰囲気を感じさせる楽曲だった。個人的にランティスが作るメロディーが全体的に好きなので、『劇場版転スラ 紅蓮の絆』の楽曲も例外なく好き。
さいごに
『転スラ』は既にTVアニメ第3期の制作が決定している。原作&コミックスの発行部数が3,000万部を超えていることを考えると、最終章までアニメ化が続く可能性は非常に高い。
それは制作陣はもちろんのこと、ファンにとっても嬉しいことだ。僕も『転スラ』が好きなので、ガンガンメディアミックスを進めてほしいと思う。