今回は『戦闘員派遣します!(以下、戦闘員)』について語っていく。『戦闘員』の原作は角川スニーカー文庫で刊行されているライトノベルで、『このすば』を手掛けた暁なつめ先生の作品でもある。ということで期待値はそこそこ高かった。
アニメ制作会社はクオリティにバラツキがあることで有名なJ.C.STAFFだ。以前上映されていた『映画このすば』もJ.C.STAFFが制作していたので、その流れだろう。
『戦闘員』の感想
感想①:『このすば』よりは劣る
さすがに『このすば』よりは劣る。アニメの問題なのか原作の問題なのか、それは分からないが『このすば』ほどのキレがなかった。
『戦闘員』もギャグアニメという分類がされると思うが、ギャグのキレがイマイチだったように見えた。ギャグはテンポがすごく大事で、なんならテンポの変化だけでも笑いを取れることができる。『のんのんびより』はまさにそうで、アニメではありえないほどの尺を使って演出したりして、しかもそれがめちゃくちゃ面白い。京アニの『日常』なんかもどうでもいいところに尺を使ってたと思う。
それぐらい面白おかしくアニメ制作をしていかなければ、笑いが取れないのだ。
『戦闘員』の場合、一つのギャグがサラッと終わってしまうので呆気ない。ギャグにおいて重要な”フリ”を大切にできなかったのだ。それだとシュールさが生まれないので”オチ”にインパクトが出ない。
僕は『このすば』に関しては原作も読んでいるのだけれども、やっぱりアニメ限定の演出がされていて、そのセンスが非常に良かった。『戦闘員』もこれぐらいのセンスを発揮できれば、今頃、大人気コンテンツになってたかもしれない。
感想②:原作2巻しかアニメ化されていないわけだが…
アニメ視聴後にネットを見ていてビックリしたのが、『戦闘員』は原作2巻分しかアニメ化してないということだ。通常、ライトノベルをアニメ化する際は、1クールあたり3巻〜4巻あたりが目安になってくる。しかし、『戦闘員』は2巻だ。「え、あのクオリティで2巻しか消化していないの!?」と悪い意味で驚いてしまった。
『このすば』も1クール2巻ペースでアニメ化していた。ただ、『このすば』は確か1クール10話ぐらいだったはず。1巻を5話にしたと考えれば納得できるし、なんといってもギャグが面白かったのでOKだ。それでも魔道具ショップのウィズとかのエピソードを省略していたわけなので、やっぱり十分な尺は取れていなかったと思う。
一方で『戦闘員』は普通に1クール12話で放送された。つまり1巻あたり6話分使えたということになる。アニメ制作にとっては非常に好条件なのに、その割には微妙なクオリティになってしまった。作画がダメとかだったらまだしも、『戦闘員』に関してはシナリオも割とダメだったような。中盤ぐらいにめちゃくちゃ巻きになってたところもあったし。
おそらく、お金と時間をかけられなかったのだろう。J.C.STAFFの悪いパターンのやつだ。もちろんクリエイターの方々に非はない。問題なのはアニメビジネスの構造そのものだ。J.C.STAFFは制作作品数をもっとスリムにしたほうが良いと思うけどなぁ。
『戦闘員』の評価
作画 | 35点 |
世界観・設定 | 40点 |
ストーリー | 45点 |
演出 | 40点 |
キャラ | 60点 |
音楽 | 45点 |
作画
作画はかなり微妙だったと思う。決して安定していたわけでもないし、キャラも全然映えてなかった。
世界観・設定
世界観・設定もちょっと微妙。『このすば』は一応「魔王討伐」というゴールはあったが、『戦闘員』は世界征服なのか惑星侵略なのか、ゴールがかなり曖昧になっていた。
ストーリー
2巻分の内容を1クールで映像化するということで十分な尺があったはずなのに、なぜかすっ飛ばしな構成になっていた。
演出
演出も特にない。ギャグ系のアニメはテンポが大事なのに、活かしきれていなかった部分が多い。
キャラ
それぞれのキャラの癖が強いし、キャラデザもそこまで可愛くない。アリスだけは結構可愛いのだけれども、サイボーグだからなぁ。笑
音楽
OP・EDは悪くないのだけれども、もっと派手にやっちゃって良かったと思う。
さいごに
ちょっと微妙な内容になってしまったが、アニメ制作にあまりお金を使ってない印象があるので、原作の売上次第では2期が制作される可能性も十分あると思う。原作は2巻しか消化していないとのことなので、続きを見たい人は3巻から読むようにしよう。